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欧州議会は9月5日、欧州委員会が本年2月に提案した市場の統一を図るための共通市場制度(Common Market Organisations:CMO)の乳・乳製品分野での簡素化を目的とした政策パッケージ案について、 これを一部修正の上合意した。 学校給食向け牛乳助成の統一単価の引き上げ 現在の学校給食向け牛乳助成制度における複雑な助成単価を簡素化し、一律化する欧州委員会の提案 そのものについては欧州議会も合意したものの、助成単価の水準については、よりバランスの取れた栄養 摂取を可能とするように、提案の100キログラム当たり16.11ユーロ(2,545円、1ユーロ=158円)から同 18.15ユーロ(2,868円)へと引き上げるべきとしている。 制度変更に伴う削減予算は酪農分野に還元 欧州委員会は、新たな政策パッケージ導入に伴い2008年から2013年の間に1億1,730万ユーロ(約185億 円)の予算削減が可能と試算している。 欧州議会はこの予算の削減部分については酪農分野に還元すべきとしており、具体的には、基金を造成 の上、2008年1月1日より ・市場自由化の進展に備えるための生乳生産者・製造者への助成 ・牛乳の消費拡大や栄養に関する情報の普及 ・条件不利地域における生産の維持・近代化 ・学校給食向け牛乳助成 のために利用すべきとしている。 脱脂粉乳などの民間在庫補助の廃止については反対 市場価格の安定を図るためのクリームや脱脂粉乳の民間在庫補助制度については、現在、ほとんど機能 していないとして欧州委員会は廃止を提案していた。 これに対し、欧州議会では、本制度は市場価格安定の「セーフティネット」として維持が必要とし廃止 に反対した。 飲用乳の区分適用の緩和 現在、域内で生産および販売できる飲用乳の区分は、@脱脂乳(乳脂肪率0.5%以下)、A部分脱脂乳 (同1.5〜1.8%)、B全乳(同3.5%以上)となっている。欧州委員会は、近年の食習慣の変化や市場の ニーズに応じた生産を目的として、それぞれの区分における乳脂肪率について、上下0.2%拡大するとと もに、脂肪率を明示する場合には、前述の3区分以外での飲用乳の生産・販売を認める提案を行っていた。 これに対し、欧州議会では、消費者の混乱を避けるため、従来通り3区分の表示と、乳脂肪率拡大に 反対した。 なお、そのほか、以下については、欧州委員会の提案に無修正で合意した。 ・粉乳・れん乳中のたんぱく質含有率を、国際規格であるコーデックス規格と同じ34%へと変更するこ とに伴う脱脂粉乳の介入価格の引き下げ(2.8%減の100キログラム当たり169.80ユーロへ引き下げ) ・バターの介入買い入れ制度について、買い入れ開始と終了の基準を簡素化 ・バターの介入買い入れ規格を緩和し、全加盟国で導入できるものに変更 ・乳・乳製品の輸入について、輸入枠の管理のために課していた、輸入ライセンスの取得と許可数量の 全量輸入義務を廃止 ・軍隊用のバター買い入れ助成制度の廃止 新たな乳・乳製品分野での簡素化を目的とした政策パッケージについては、9月24日に予定される農相 理事会において最終的に合意される見込みである。
【ブリュッセル駐在員 和田 剛 平成19年9月6日発】
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