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EUのフードチェーン・家畜衛生常設委員会は9月11日、証明書類の添付および着色などによる識別の実施 による畜産副産物のトレーサビリティシステムについて、これを改良する欧州委員会による提案に合意した。 輸送手段の色識別によるトレーサビリティの徹底 畜産副産物の収集、加工、利用、処分などの方法や基準を定めた、畜産副産物に関する規則(EC/1774/2002) では、ヒトや動物の健康に悪影響を及ぼす畜産副産物がフードチェーンに入ることを防ぐため、以下のように 畜産副産物をカテゴリー分けし、それぞれのカテゴリーごとの収集・処分方法などを規定している。 カテゴリー1:特定危険部位が除去されていない家畜の死骸などで、すべてを焼却などにより処分 カテゴリー2:農場でへい死した家畜や家畜疾病(TSEを除く)の拡大防止のために処分された家畜など で、焼却処分のほか、たい肥、バイオガス、油脂の原料として利用が可能 カテゴリー3:人間の消費のためにと畜された健康な家畜から生じた畜産副産物で、焼却処分のほか、たい 肥、バイオガス、油脂、家畜の飼料の原料として利用が可能 また、畜産副産物のトレーサビリティシステムとして、それぞれの積荷について、各段階の出し手と受け手 の双方が記録を残すことや、移動の際に商業上の書類や衛生証明書などを添付することとしている。 今回の改正案では、ほかの加盟国に輸送する畜産副産物に関し、カテゴリーごとに定められた色(カテゴ リー1:黒色、カテゴリー2:黄色、カテゴリー3:緑色)で識別されたコンテナまたは車両による輸送を義 務付け、カテゴリー区分の誤認を防止し、さらなるトレーサビリティの徹底を目指すこととしている。 着色物質の規定によるトレーサビリティの徹底 また、今回の改正案では、トレーサビリティの徹底の観点から、カテゴリー1またはカテゴリー2に区分さ れる肉骨粉および油脂について、熱変化や経年変化の少ない物質としてGTH(glyceroltriheptanoate)に よる着色を義務化した。なお、各加盟国は、自国内でのみ移動する畜産副産物に関し、例えば、上記以外のカ テゴリー3に区分される物質について、追加的な着色ルールの導入が可能となっている。 今回の合意による、畜産副産物の新たなトレーサビリティルールは2008年7月1日から適用される見込みで ある。
【ブリュッセル駐在員 和田 剛 平成19年9月12日発】
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