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米国農務省、2008年度の農産物輸出額は引き続き増大と予測


農産物輸出額は2000年以降前年度を上回る水準で推移

  米国農務省(USDA)は8月31日、2007年度(2006年10月〜2007年9月)の農産物輸出額を前回(5月)
推計値から15億ドル(1千7百億円:1ドル=115円)上方修正するとともに、2008年度には、前年度をさら
に45億ドル(5千2百億円)上回る835億ドル(9兆6千億円)に達するとの予測を公表した。

  同省は、毎年四半期ごとにこの農産物貿易予測を公表しており、2007年度の輸出額についてはこれまでにも、
好調な穀物・飼料輸出を中心に、過去最高水準となった2006年度を大幅に上回る見通しを示していた。今回の
予測では、2008年度においても、米国産農産物に対する海外需要は増大し、主要農産物ほぼすべてにおいて輸
出額が増加するとの見通しが示された。

  一方、2008年度の同輸入額は、@2003年以降の米国経済成長の伸び悩み、Aドル安傾向、B燃料高のマイナ
ス影響―などにより、前年度(予測)から45億ドルの増加にとどまるものと見込まれている(2007年度は前年
度比65億ドル増)。

  なお、輸出相手国(地域)別に見ると、2008年度には中国がEU(27カ国)を上回り、カナダ、メキシコ、
日本に次ぐ4番目に大きな輸出市場となるものと見込まれている。



トウモロコシ・大豆の輸出額が引き続き増大

  USDAは、2008年度の農産物輸出額の増大について、@2007年の米国産トウモロコシの記録的な生産量が
予測される中、トウモロコシや小麦などの主要輸出国(カナダやアルゼンチンなど)における生産減による競
合の緩和、A世界的な穀物需給のひっ迫による国際価格の上昇、BEU、中国およびブラジル通貨に対するド
ル安傾向―などを主な要因に挙げている。

  品目別に見ると、輸出金額が最大のトウモロコシは、世界的な需要の高まりに加え、EUにおける干ばつの
影響による同地域向け輸出量の増加(前年度比150万トン増)などにより、輸出金額は93億ドル(1兆1千億円)
(前年度比6億ドル増)に達するものと見込まれている。

  また、2007年度に輸出量・輸出額がともに大幅に増加した大豆についても、トウモロコシへの生産シフトに
よる国内生産量の減少から輸出量は減少するものの、@中国の輸入大豆に対する需要増(中国国内の生産減)、
AEUのバイオディーゼル市場の拡大―など諸外国における大豆需給のひっ迫による国際価格の上昇から、輸
出金額は87億ドル(1兆円)(同6億ドル増)に増加するものと見込まれている。



牛肉輸出額は大幅に増加も、その他畜産物は前年度と同水準の見込み

  2008年度の畜産物輸出額については、主に牛肉輸出の増加により、昨年度を3億ドル上回る156億ドル(1兆
8千億円)になるものと見込まれている。

  牛肉輸出は、今回の予測では、日本や韓国などにおける現行の輸入条件が継続されるとの前提の下、数量
ベースで54万トン(前年度比10万トン増)、金額ベースで22億ドル(3千億円)(同3億ドル増)と見込まれ
ている。一方、近年、拡大を続けている豚肉輸出については、2008年度には数量・金額ともに前年度と同水準、
また、鶏肉については、数量ベースで見ると需要増やドル安傾向により増加するものの、米国内の鶏肉生産量
の増加により輸出単価の低下が見込まれることから、金額ベースではわずかに減少するものとされている。

  さらに、乳製品の輸出額については、2007年度は国際価格の急騰や、粉乳製品・チーズの輸出量の増加など
により大幅に増加したものの、2008年度では、前年度と同水準となるものとされている。

  ジョハンズ農務長官は同日、今回の予測について、「これらの予測は、米国産農産物に対する世界的な需要
の高まりを示すとともに、穀物や油糧種子部門における世界的な需給ひっ迫を反映したものである。また、現
在、米議会による批准を待っているコロンビア、韓国、パナマおよびペルーとの自由貿易協定の進展が今後の
市場拡大に大きく影響することとなる」と述べた。




【ワシントン駐在員 唐澤 哲也 平成19年9月13日発】



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