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生産者団体は再びストを開始(アルゼンチン)

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 農業ストの期限であった5月2日以降も、生産者団体と政府の間で継続的に会合が開かれたが、両者の間で合意を見たとする発表は行われなかった。議論の中心は、輸出税率が生産コストに関わりなくFOB価格のみで決定されることであると伝えられているが、政府側から見直しを検討するなどのコメントは伝えられていない。なお、会合は政府幹部と各生産者団体会長といった少人数で行われ、協議の詳しい内容については発表されていないことから、生産者団体の中には、政府は引き伸ばしを狙っていると考える者も現れていた。

 そのような中、生産者団体は5月7日、ストライキ活動を再開することを表明した。今回は5月15日まで生産者は輸出向け穀物出荷を中止し、道路では穀物を輸送する車両は停止させる一方で、その他食品を輸送する車両は通過させることで、税収に打撃を与えかつ、国内の食品供給不足を避ける方針であると伝えられている。

 一方、政府は牛肉輸出のため履行すべき条件を定めた国家農牧取引監督機構(ONNCA)決議42/08号(2008年5月6日付け)を公布した。4月1日頃から牛肉の輸出業務登録に関する規定を見直すことなどを理由に、事実上、牛肉輸出が停止していたところであるが、関係者は「政府が牛肉輸出を認める姿勢を表したものと理解できる。しかしながら新たな手続きを行うために時間が必要であり、実際に輸出が認められるかどうかは、今後の生産者団体と政府の交渉状況による。」とみている。

 このように政府は、徐々に生産者に歩み寄る姿勢は見せているものの、生産者の不満を解消するには至っていないとみられる。

(新たな輸出登録制度について)

 アルゼンチンではこれまで経済生産省決議31/2006号に基づいた登録が行われていたが、ONNCA決議42/08号は、これを改正したものである。今後、輸出業者は「ROE-ROJO(輸出業務登録証明書)」と呼ばれる申請書を提出することとなる。
ROE-ROJOの記述項目
 以前の記述項目に加え、牛肉製品の保管可能量、申請日の牛肉製品の保管量が加わっている。また、決議42/08号では牛肉製品の保管可能量の75%は輸出準備のために保管することとされており、これは国内の牛肉価格の上昇を防ぐための一環の措置であるとみられる。
【松本 隆志 平成20年5月8日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 調査課 (担当:藤原)
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