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インド向け輸出開始により鶏肉需要を拡大(ブラジル)

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飼料費などの上昇により生産コストが上昇

 ブラジルの上半期の鶏肉の輸出状況(ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)が発表する1月〜6月の統計)をみると前年同期に比べ、輸出量はかなり大きく増加し164万5千トン(13.5%増)、輸出額は大幅に増加し27億9,354万ドル(45.9%増)となっている。ブラジル鶏肉輸出協会(ABEF)は2008年の鶏肉輸出額を65〜70億ドルと見込んでいる。

 輸出単価の上昇を背景に輸出額が大幅に増加しているが、ABEFによると、ドル安とトウモロコシなど生産コストの上昇により収益性が著しく減少している。

 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)が公表している生産費をみると、各項目においてコストが上昇していることが分かる。
(表1)生体1キログラム当たりの生産費
 そこで、毎月のFOB輸出価格(1トン当たり米ドル価格;青色)と生産費(生体1キログラム当たり米ドル価格;赤色)を比べてみたものが以下の図である。図からみると、2007年後半から、収益性が低下してきているものとみられる。
(図)輸出単価と生産費の関係

インド向け鶏肉輸出を開始

 収益性の向上を図るためには、需要を拡大し、輸出単価を上昇させることが必要であるが、ブラジル政府は、8月1日にインドへの鶏肉輸出を開始することを発表した。これまでインドは鶏肉を自給しており、また両国間の防疫条件が定められていなかったことから、ブラジルからの鶏肉輸出は行われていなかった。
(表2)インドの鶏肉需給
 インド向け鶏肉輸出が7月31日から可能となったことについて、ABEFは、「インドは鶏肉を自給してきたが、人口増加と所得向上により需要が増加している。ブラジルから輸入することにより、需要を満たすことが可能になる。また、ブラジルは鳥インフルエンザが発生していないことから、防疫問題もない。
インド大使は年間30万トンの輸出量になると想定しているが、時間と共に輸出量が増加する可能性も大きい。」と述べている。

 この予測に近い輸出が達成された場合、世界の鶏肉需給に大きな影響を与えるものとみられる。
(表3)ブラジルの国別鶏肉輸出量
【松本 隆志 平成20年8月29日発】
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