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管理強化されるトウモロコシ輸出(アルゼンチン)

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 トウモロコシの国際価格が高い水準で推移する中で、輸出国であるアルゼンチンは収益、税収増加という恩恵を受ける一方で、飼料価格の上昇により国内畜産物の小売価格の上昇を招いている。このため、アルゼンチン政府は飼料価格の上昇を防止するため、これまで輸出税率の引上げや輸出量規制を行ってきたところであり、適宜、政策変更について報告してきたところであるが、2008/09年度(3月〜翌年2月)のトウモロコシについては、は種面積の減少や、降雨不足により、生産量の減少も懸念されることから、改めてトウモロコシ輸出をめぐる管理強化の状況を報告する。

2006/07年度のトウモロコシをめぐる状況

(1) 輸出登録の大幅増加により輸出登録を停止(2006年11月)

 収穫予定の2006/07年度のトウモロコシの輸出登録が前年同期を大幅に上回ったことから、政府は2006年11月20日、トウモロコシの輸出登録を停止した。アルゼンチンでは、トウモロコシは9月から11月にかけては種され、翌3月から7月にかけて収穫される。輸出価格の上昇によりトウモロコシの輸出登録は11月時点で1,063万トンに達し、これは前年同期に比べ10倍程度であった。

(2) 輸出登録が再開されるも数日で再び輸出登録を停止(2007年5月)

 2007年5月8日に300万トンまでのトウモロコシの輸出登録を再開したが、数日間で消化され、再びトウモロコシの輸出登録は停止された。

 アルゼンチンでのトウモロコシの収穫は最も早い地域で2月から始まることから、5月には概ねの生産量は把握できる。このため、政府は生産量と国内需要量から輸出可能量を算出し、輸出可能量に達したと判断したため、2006/07年度のトウモロコシについては輸出登録を停止したとみられる。

2007/08年度のトウモロコシをめぐる状況

(1) 輸出税率を引き上げ(2007年11月)

 2007年11月7日にトウモロコシの輸出税を20%から25%へ引き上げた。同じく、小麦は20%から28%へ、大豆は27.5%から35%へと引き上げた。

(2) 輸出登録を再開(2008年2月)

 2008年1月30日にトウモロコシの輸出登録を再開した。船積み期間が2月15日以降で、船積み開始日が登録日から30日以内の輸出業務の申告書を登録することができ、船積み期間は自動的に15日間までの延長が認められるとされた。

(3) 穀物輸出課徴金制度(輸出税)の改正を行ったが廃案(2008年3月)

 大豆の生産拡大および、食料品の国内価格の上昇の抑制、財政面での歳入増加による財政黒字の維持などの理由を背景に、2008年3月11日に穀物輸出課徴金制度を改正し、大豆とひまわりの輸出税率を引き上げる一方、トウモロコシと小麦については引き下げを行った。しかしながら、長期間にわたる農業ストに発展し、7月に上院で否決され、同制度は無効化された。

(4) 穀物輸出に関する管理強化(2008年5月)

 2008年5月29日に、穀物・油糧種子の輸出許可証の発行は、国家農牧取引監督機構(ONCCA)が算出した輸出許可量に基づき行われ、輸出業者は申告から45日以内に出荷し、船積みされる際に税金を支払わねばならないとされた。また、8月15日には、輸出税を前払いすれば、申告から小麦は90日、トウモロコシは120日、大豆その他は180日以内に出荷できることを追加した。

 2007年11月に輸出税率の引き上げが行われた際にも、生産者団体は反対したが、農業ストには発展しなかった。これは、アルゼンチンでは2007年10月28日に大統領選挙が実施されたが、以前から大統領選挙後に輸出税率が引き上げられるという報道が行われていたこと、輸出税率の引き上げと同時に小麦の輸出登録が再開されたことなどが要因とみられる。一方、2008年3月の穀物輸出課徴金制度の改正は、トウモロコシおよび大豆の生産者から見ると、は種直後に輸出税率が引き上げられたにも関わらず、収穫期になって更に輸出税率を変更するものとなり、大きな反発に至ったとみられる。

輸出業者にとっても困難な状況が続く

 2008年9月中旬頃からONCCAはトウモロコシの輸出登録を停止している。このように管理強化が進む中、アルゼンチン油産業会(CIARA)で現状について質問した。
(質問) 10月4日から8日まで農業ストが行われたが、輸出への影響は。
(回答) 輸出用エレベーターには、通常1カ月程度の在庫があるため、長引かなければ問題はない。3月の農業ストは在庫が最も少ない端境期であり、かつ長期間であったため、影響が大きかった。
(質問) 3月から7月まで続いた農業ストの間の輸出の状況は。
(回答) 農業ストは断続的に行われたため、農業ストの停止期間中に農畜産物が出荷され、輸出することができた。
特に7月は穀物輸出課徴金制度の改正が廃案となったことから3月11日以前の輸出課徴金税率での輸出が可能になったため、輸出量が増えた。
(質問) 輸出管理の強化の影響は。
(回答) 3つの影響がある。
(1) 輸出業者は、これまで1年単位で輸出を計画してきたが、申告から45日以内に出荷しなければならないことにより、先物契約が成立しなくなったこと。また輸出税の前払いによる延長も半年程度のため、現状を改善するものではないこと。
(2) ONCCAの輸出許可量は公表されないため、関係者にとっては突然の輸出登録の停止となること。
(3) 輸出登録が、数量規制に基づく許可制になったこと(図参照)
(質問) アルゼンチン政府が望む、大豆の生産を減らし、国内需要の多い小麦やトウモロコシの生産を増加させる方向に仕向けるためのポイントは何か。
(回答) 畜産を振興するための政策支援が不可欠であろう。肉用牛生産の収益性が低い現状では、多くが収益性の高い大豆生産に移行してしまう。また穀物・油糧種子価格は、今後の米国の農業政策の動向と為替の動向に大きく左右されるとみている。


(旧制度)
旧制度
(新制度)
新制度
 アルゼンチンでは農畜産品の輸出に当たり、輸出税を納めなければならない。このため輸出許可証がないと、農畜産品を輸出できない。旧制度の輸出登録は、輸出税の確実な徴収の手段であったが、新制度では、輸出量を管理する仕組みとなっている。

 なお、輸出登録の停止は、新たに輸出許可証を発行しないことを意味する。このため、輸出登録が停止された以降であっても、輸出許可証があれば許可済分は輸出できる。
【松本 隆志 平成20年10月9日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 調査課 (担当:藤原)
Tel:03-3583-9805



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