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金融危機の影響は2009/10年度の穀物生産に影響(ブラジル)

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2008/09年度の生産はわずかに減少見込み

 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は12月、2008/09年度(7月〜翌年6月)第3回主要穀物生産状況調査結果を発表した。

 これによると、作付面積は横ばいの前年度比0.2%増の4,749万ヘクタール(2007/08年度4,731万ヘクタール)となり、生産量はわずかに減少し同2.5%減の1億4,028万トン(同1億4,386万トン)と見込んでいる。
(表1)2008年度第3回主要穀物生産状況調査結果

関係者は2009/10年度の生産に金融危機の影響が生じることを懸念

 サンパウロ州の生産者や金融機関、農業コンサルタントのFNP社から、今後の生産に関して聞き取り調査を行ったところ、これら関係者は、今年度および来年度の生産が減少すると見込んでいることがうかがえた。

(2008/09年度の生産量に関して)

(1) レアル安により肥料の輸入価格は上昇する一方、トウモロコシ価格は下落していることから、二期作にトウモロコシでなく、フェイジョン豆や大豆を選ぶ農家も増えるとみられること(二期作トウモロコシは、トウモロコシ−トウモロコシと続けて生産するのではなく、肥料の残りなどを利用して大豆―トウモロコシ、フェイジョン豆―トウモロコシ、じゃがいも−トウモロコシなどのようにほかの品目と合わせて1年間に2回作付け)
(2) ブラジルでは、種子、肥料、農薬などの資材を農協などから購入する際、まだ作付けしていない大豆を担保として、農協などを通じて穀物メジャーから融資を受け、収穫後に返済する契約を行ういわゆる青田買いの取引が広がっているが、金融危機以降、この融資が停止していること

(2009/10年度の生産量に関して)

(1) 連邦政府が行う低金利の農業融資については、投資融資(機械施設の整備などの融資)より営農融資(運転資金などの融資)を優先して行っていることから、農業機械の更新などに滞りがみられること
(2) サトウキビの生産の約三分の二は、製糖工場が農家から借地し、工場自ら生産することにより行われているが、原油価格の下落により工場経営が悪化し、借地料の支払いに滞りがみられること
(3) 今年度の農業資材は、好調な穀物価格とレアル高の比較的恵まれた環境で準備することができたが、現状が急に好転することは期待できないことから、来年度の生産はさらに減少するおそれがあること

など、今年度の生産量に関してはCONAB調査結果よりさらに減少する見込みであること、また金融危機の影響は今年度よりむしろ来年度の生産に影響する恐れがあることを指摘していた。

洪水災害による穀物生産への影響はわずかとなる見込み

 ブラジル南部のサンタカタリナ州で11月下旬、数日間にわたる豪雨の影響で洪水被害が発生した。今回の災害は、同州東部の沿岸地域を中心に発生した。このため、ブラジル鶏肉輸出の約4割を担う重要な輸出港であるイタジャイ港が被災するとともに、フェイジョン豆、米などの生産に被害を与えている。
http://lin.alic.go.jp/alic/week/2008/ar/ar20081202.htm

 サンタカタリナ州農畜産連盟(FAESC)によると、被災により、フェイジョン豆は7.5万トン(国内生産量の2.0%分に相当)、米は16.5万トン(同1.3%分に相当)の収穫が失われ、加えてタマネギ、タバコ、養蜂などにも影響が及んでいることが報告されている。なお、上述した第3回主要穀物生産状況調査は11月17〜21日にかけて行われた調査結果であるため、洪水災害による影響は反映されていないとみられる。なお、これまでの傾向を見ると生産されたフェイジョン豆および米は、ともにほぼ国内消費に向けられている。

 一方、トウモロコシや大豆は同州中西部で生産されていることから、これらに関して被害は報告されていない。

遺伝子組み換えトウモロコシの栽培開始

 遺伝子組み換えトウモロコシの栽培については、2008年2月12日に開催された国家バイオ安全審議会において、除草剤耐性を持つT25と害虫抵抗性を持つMon810の栽培を許可することが決定されたことから、2008/09年度のは種から利用が始まったところである。

 農業コンサルタントのセレレス社によると、一期作トウモロコシの6.7%、二期作トウモロコシの19%に遺伝子組み換えトウモロコシが利用され、作付面積は135万ヘクタールに達すると予測している。なお、遺伝子組み換えトウモロコシ種子の単価は、非遺伝子組み換えトウモロコシ種子と比べて約5割増であるが、約5%の単収向上効果が期待できるとされている。
【松本 隆志 平成20年12月12日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 調査課 (担当:藤原)
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