対日チーズ輸出は大幅減(アルゼンチン)
2008年1月〜10月までの輸出量は、前年同期比73.2%減
アルゼンチンのチーズは、同国の乳製品輸出の約2割を占める主要輸出品目の一つとなっている。
こうした中で、2008年1月〜10月までのアルゼンチンのチーズ輸出量は、前年同期比12.7%減の約3万6千トンとなった。そのうち、日本向けは同73.2%減の約2,300トンとなった。
アルゼンチンの対日チーズ輸出量は、2005年から急増し2007年(1月〜12月)にはロシアに次ぐ9,537トンとなった(図1)。その内訳は、図2のとおりとなっている。種類別の用途は、チェダーチーズは、主にプロセスチーズの原料として、ゴーダチーズ、モッツアレラチーズは主に外食用(ピザ用など)のシュレッドチーズの原料として輸出されている。パルメザンチーズは、主に業務用粉チーズの原料として輸出されている。
現状では、対日輸出は国際需給や為替の動向次第
対日輸出量の変化について、アルゼンチンの乳製品の輸出会社で組織する団体(Centro de la Industrial Leche:CIL)に対し聞き取りしたところ、以下のとおりであった。
1 2005年以降、対日輸出が急増した理由について
「中国、ロシアなどの需要増加やオセアニア地域での干ばつなどにより、2005年以降チーズなどについて国 際需給のひっ迫傾向が続いたことや、豪ドル高などによりアルゼンチンからも日本へ輸出できる為替環境になったことによる。また、日本向け輸出に実績のあるカナダの乳業メーカーがアルゼンチンに進出してきたことも関係していると思われる。」
2 2008年に対日輸出が大幅減となった理由
「上半期の国内のチーズ需要が旺盛であったことから、政府がチーズの輸出許可書の発行を抑制したため、輸出が減少した。このような状況下で、アルゼンチンに進出している米国やメキシコの乳業メーカーは、コスト面から見て自国の市場を優先し、結果、日本向け輸出が減少した。
日本向けの輸出は、輸送コストというハンディがある中で、(1)日本側の輸入業者が少ないこと(2)日本の需要者はオセアニア地域や欧州などの乳業メーカーとの結びつきが強いこと(3)日本の需要者の要求する品質基準に対応しづらいこと−から 現状ではなかなか難しい状況にある。」
豪ドル安から豪州産チーズに比べ、アルゼンチン産チーズの価格優位性がなくなった中、2008年の対日輸出は大幅に減少している。しかしながら、より多くの日本の輸入業者がアルゼンチンに進出して品質改善などに取り組めば、輸出は今後伸びる可能性もあると考えられる。
【石井 清栄 平成20年12月19日発】
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