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欧州委、バタリーケージによる採卵鶏飼養の禁止は有益との報告書を公表

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 欧州委員会は1月8日、バタリーケージ(多段式のケージ飼養方法)による採卵鶏の飼養の禁止が、鳥の健康や動物福祉の改善につながるとする報告書を公表した。

 報告書では、従来のバタリーケージなどの飼養密度の高い飼養方法から、エンリッチドケージ(拡充ケージ)など比較的飼養密度の低い飼養方法に切り替えることにより、卵の生産コストは上昇するが、疾病発生のリスクなどが軽減され、また高品質な卵が生産できることから、EU域外の生産者に対し競争力を有することになるとしている。このため、2012年1月1日以降のバタリーケージ飼養の禁止については予定どおり実施すべきと結論づけている。

採卵鶏に関するEUの飼養基準

 採卵鶏の飼養に関する動物福祉基準については、「採卵鶏の保護のための最低基準に関する理事会指令(1999/74/EC)」において、平飼いなどケージ以外で飼養する場合、エンリッチドケージで飼養する場合、エンリッチドケージ以外のケージ(バタリーケージなど)で飼養する場合に分けて基準を規定している。例えばエンリッチドケージで飼養する場合には、1羽当たりの飼養面積は最低750平方センチメートル、産卵場所、敷き材、止まり木などを設置することが決められている。

 このうち、バタリーケージなどのエンリッチドケージ以外でのケージ飼養については、2003年1月以降、新たに導入することは禁止されており、また2012年1月以降は全面禁止となっている。

 なお、本指令は、350羽未満の飼養農家、採卵鶏の繁殖農家は適用除外となっている。

飼養方式変更により生産コストは上昇するものの利益は増加

 報告書では、一部の生産者が懸念するバタリーケージからそのほかの飼養方法への変更による生産コストの上昇についても報告している。欧州委員会が2004年に公表した社会経済性レポートによれば、バタリーケージから納屋飼いに変更する場合には卵1個当たり1.3セント(2.1円:1セント=1.62円)、屋外での飼養に変更する場合には同2.6セント(4.2円)それぞれコストが上昇すると試算している。これを基に、仮に、現在のバタリーケージにおける卵1個当たりの生産コストが9セント(14.6円)とすれば、バタリーケージからエンリッチドケージへの変更では同1セント(1.6円)以下のコスト上昇になると見込んでいる。ただし、域外生産者に対し不利となる生産コストの上昇も、輸入品には関税、輸送コスト、鮮度の問題があり、ある程度緩和されるとしている。
 
 一方、民間の分析では、バタリーケージに比べ屋外飼養では、生産量は減少するものの、卵1キログラム当たりの利益は2倍になるとしている。この背景には、EU市民を対象とした調査において「動物福祉基準にのっとって生産した畜産物を、より高い値段でも喜んで買う」と回答した者が57%に達するなど、「動物福祉」への対応が、EU消費者の商品選択の要件の1つとなっていることが背景にある。実際、英国の大手小売店では、最近2年間に、屋外飼育で生産された卵の売上は2倍に増加しており、今後も売上はさらに伸びると見込まれている。

消費者への情報提供の促進を提案

 報告書では、今後、講ずべき対策の1つとして、EU生産者の競争力向上のために、生産方式に関する消費者への情報提供の促進を挙げている。

 具体的には、高い動物福祉基準にのっとって生産された卵に関し、消費者へ以下の情報を提供すべきとしている。
  • 適用される生産方式
  • より高い動物福祉基準を実行するためには生産コストが余計に掛かること
  • 動物福祉基準の変更が卵の価格に与える影響
【和田 剛 平成20年1月17日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 調査課 (担当:井上)
Tel:03-3583-9535



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