2007年の農業生産者の収入は前年比5.4%増(EU)
EU統計局(Eurostat)が3月11日に公表したEU農業生産者の収入に関する統計によれば、2007年のEU農業生産者1人当たりの農業労働投下量を加味した農業収入は前年比で5.4%増加(以下、変化率はすべて前年比)し、2006年の3.3%増加に続き2年連続で増加した。
これは、農業実収入が3.1%増加、農業労働投下量が2.2%減少したためである。
この農業実収入の増加3.1%の内訳を見ると、生産額の増加(+4.3%)、生産費の増加(+5.8%)、直接支払いなど助成金の減少(−2.8%)などとなっている。
地域別では北高南低の傾向
農業生産者1人当たりの農業労働投下量を加味した農業収入の状況を見ると、27カ国中19カ国が前年比で増加したが、特に、リトアニア(+39.3%)、エストニア(+22.5%)、チェコ(+20.9%)、スウェーデン(+16.5%)で大きく増加した。一方、ルーマニア(−16.7%)、ブルガリア(−8.5%)、ポルトガル(−5.0%)などが大きく減少し、2007年のEUは北高南低の傾向にあったと言える。
生産額は穀物作物がかなり増加、畜産は前年並み
農業実収入の増加のうち、大きな要因となった生産額の変化を作物別に見ると、耕種作物は7.8%増加した一方、畜産物は0.6%の増加にとどまっている。
耕種作物のうち穀物については、2007年のEU域内外の穀物価格上昇を背景に、生産者価格が大きく増加し、生産量はわずかに減少したものの、生産額は37.9%と大幅に増加した。
畜産物については部門により明暗が分かれている。
最も生産額の減少が大きかったのが豚で、生産量は4.9%増加したものの生産者価格が12.4%とかなり大きく減少したため、8.1%とかなりの減少となった。また、肉用牛やヤギ・羊も同様の傾向から、生産額がそれぞれ3.8%、4.8%減少している。
一方、牛乳は、生産量はわずかに減少したものの、世界的な乳製品の需要増を受け生産者価格が8.8%増加した結果、生産額は6.3%増加している。
【和田 剛 平成20年3月13日発】
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