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欧州委、2014年までの農産物の需給に関する中期見通しを公表

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 欧州委員会は4月4日、2007〜2014年のEUにおける主要農産物の需給に関する中期見通しを公表した。

EU27の農業収入は増加傾向で推移

 2014年のEU27カ国(以下「EU27」とする。)の農業者一人当たりの農業収入(実質)は2006年と比較して18.1%増と大幅に増加すると見込んでいる。加盟時期別に見ると、2004年4月30日までに加盟した15カ国(以下「EU15」とする。)は同7.1%増、2004年5月1日に加盟した10カ国(以下「EU10」とする。)は同31.2%増、2007年1月1日に加盟したブルガリアおよびルーマニア(以下「EU2」とする。)は同87.6%増と見込まれている。EU10およびEU2の大幅な増加の要因として、EUという単一市場への加入による販売機会の増大の恩恵や、EU15より低い水準で支払われている現在の共通農業政策(CAP)による直接支払いが年々増加することによる収入の増加が大きいとしている。

牛肉生産は引き続き減少傾向となる見通し

 EU27の食肉分野の見通しは、牛肉生産は引き続き減少傾向としているが、そのほかは総じて増加傾向であるとしている。

 牛肉生産は、生乳生産割当(クオータ)制度の下での1頭当たり泌乳量の増加による経算牛飼養頭数の減少や、2003年のCAP改革による直接支払い制度(デカップリング)の導入により、中期的には減少傾向で推移するとしており、2014年には2007年と比較して5.5%減少するとしている。また、牛肉消費については堅調に推移するとしていることから、生産減少による域内での供給不足が発生するが、その不足については、域外からの輸入の増加により補われると見込まれている。

 豚肉の生産および消費は、中期的に増加傾向で推移するとしているが、家きん肉との競合や飼料価格の高騰の影響を受けることから以前と比べて穏やかに増加するとしている。また、域外への輸出については、生産コストがEUより低い国々との競合により、中期的には減少傾向で推移すると見込まれている。

 家きん肉の生産および消費は、ほかの食肉との価格面での優位性や、消費者のし好が強いことなどから、中期的にはともに増加すると見込まれている。輸入については、世界貿易機関(WTO)のパネルで敗訴を受けたブラジルやタイに対する新たな輸入枠の設定により増加し、域外への輸出は、減少すると見込まれている。その結果、EU27は2008年以降、消費量が生産量を上回り、家きん肉の純輸入地域になると見込まれている。

バターおよび脱脂粉乳の生産は減少傾向となる見通し

 EU27の生乳生産は、生乳クオータ制度を背景に中期的には安定して推移し、2014年は1億4千7百万トンと2007年とほぼ同水準で推移すると見込まれている。
(なお、EU27の生乳の見通しについては、2007年12月末までに入手可能な情報を元に予測していることから、2008年3月に決定された2008/09年度の生乳クオータの2%拡大については考慮されていない。)

 バターおよび脱脂粉乳の生産は、2007年は価格高騰により増加傾向であったが、現在は減少傾向で推移していることや、新たな付加価値乳製品の生産量の増加などの影響を受け、中期的には減少するとして、2014年の生産量はそれぞれ、192万トン、81万トンと2007年と比較してかなりの程度下回ると見込まれている。また生産量の減少に伴い、バター、脱脂粉乳ともに輸出も減少するとしており、2014年の輸出量は価格高騰により好調だった2007年と比較してバターは75.1%減の5万4千トン、脱脂粉乳は77.1%減の3万9千トンとそれぞれ大幅に減少すると見込まれている。
【小林 奈穂美 平成20年4月7日発】
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