欧州委員会は4月22日、牛の特定危険部位(SRM)として指定している脊柱の除去対象月齢を24カ月齢超から30カ月齢超に引き上げることを決定した。今回の決定は、欧州委員会が2005年7月に公表した、EUのBSE対策の見直し方向を示した「TSE指針(Roadmap)」に基づくもので、食品安全や消費者保護の水準を維持しつつ、BSEの状況改善に併せ可能な見直しを行った結果である。
EUでは牛肉の流通に際し、BSEの感染リスクが高いとされるSRMが食品や飼料に混入すること避けるため、2000年10月より牛のと畜時にSRMを除去・処分することを義務付けている。このようなBSEの撲滅のための対策の実施により、年々、BSE陽性牛の頭数は減少し、また、確認される陽性牛の月齢は着実に上昇している。このため、EUでは2006年1月より、脊柱の除去対象月齢をそれまでの12カ月齢超から24カ月齢超に引き上げていた。
今回の決定は、2007年4月の欧州食品安全機関(EFSA)が公表した「脊柱の除去対象月齢引き上げに関し、33カ月齢超に引き上げたとしても安全性が確保できる」とする意見を参考にしたものである。欧州委員会では、これに高い安全率を見込んで「30カ月齢超」に引き上げる提案を行った。
今回の決定により、SRMの排出量の減少やそれに伴う処分経費の低減が見込まれ、生産者や食肉業界の競争力向上につながるものと期待されている。