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2008年の豚肉生産はわずかに減少と予測(EU) 

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豚肉生産はわずかに減少

 EUの豚肉関係者で構成される豚肉助言グループの予測委員会の豚肉の需給見通しによると、2008年の豚肉生産量は、EU27カ国全体で2,254万トン(生産量は枝肉ベース。以下同じ。)となり、前年と比較して1.5%減少すると予測している。

 主要国について見ると、EU最大の生産国であるドイツでは同4.7%減の475万トン、第2位のスペインでは同3.1%増の362万トン、第3位のフランスでは同1.4%減の225万トン、第4位のポーランドでは同6.0%減の196万トン、第5位のデンマークではほぼ前年並みの180万トンとなっている。

卸売価格は回復

 EUの豚枝肉卸売価格は、2004年以降好調に推移し、2006年8月には2004年以降最高値となる100キログラム当たり165ユーロ(2万7千円:1ユーロ=163円)を記録した。2006年の平均価格は同145.34ユーロ(2万4千円)と過去5年間で最も高い水準であった。

 2007年は、生産は安定していたが、家きん肉消費の回復、ロシアへの輸出量の減少の影響を受け需要が伸び悩み、同135.17ユーロ(2万2千円)と前年をかなりの程度下回った。また、主要穀物生産地域の天候不順の影響による飼料価格の上昇から生産コストが上昇し、枝肉価格の低下と相まって農家所得が落ち込む年となった。

 2008年は、徐々に回復すると予測されており、第2四半期以降も好調に推移し、平均価格は同150.41ユーロ(2万5千円)となるとしている。

輸出は増加傾向

 2007年のEU27全体の豚肉輸出量は189万トン(輸出量は製品ベース。以下同じ。)、前年比9.0%減とかなりの程度下回った。これは、これまで主要輸出先であったルーマニアやブルガリアが2007年1月1日に新たにEUに加盟した影響によるものである。輸出先を見ると、全体の33.7%の63万7千トンがロシア向けに、12.3%の23万2千トンが日本向けとなっている。また、東南アジア向け輸出が伸びており、これは主に副生物の輸出が好調なことが主な要因として挙げている。

 2008年の輸出量は194万トンと前年比2.3%増と増加傾向となると予測している。

主要国の状況

ドイツ 2007年は、生産や輸出は好調であったが枝肉卸売価格は下落し、前年比9.7%安となった。2008年は、飼養頭数の減少により生産量は減少するものの、価格は回復すると予測しているが、この価格上昇を小売価格や輸出価格へ転嫁できるかの懸念がある。
スペイン 2008年の生産量は前年比3.1%増の362万トンと予測している。枝肉卸売価格は、好調であった2006年とは反対に2007年はかなりの程度下回ったが、2008年は回復し、前年比14.8%高と予測している。
フランス 2007年の生産量は、繁殖めす豚の飼養頭数が減少したものの生産性の向上により、ほぼ前年並みとなったが、2008年は前年比1.4%減となると予測している。また、枝肉卸売価格は、大きく落ち込んだ2007年と比較すると21.9%上回ると予測している。しかし、最近の飼料価格の高騰などから生産コストが上昇しており、農家の厳しい経営が続くと指摘している。
ポーランド 2008年は、枝肉卸売価格は他国同様回復するとしているが、生産コストの上昇から小規模農家の離農が進み、飼養頭数が減少、生産量も前年比6.0%減の196万トンと予測している。
デンマーク 2008年の生産量はほぼ前年並み、枝肉卸売価格は年後半に回復すると予測している。一方、生産者販売価格は、生産コストを下回り、昨年米国との競争により減少した日本、ロシア向け輸出について更なる影響を与えるとしている。
【小林 奈穂美 平成20年4月30日発】
このページに掲載されている情報の発信元
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