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欧州食品安全機関(EFSA)が体細胞クローンのリスクアセスメント結果を公表

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パブリックコメントなどを踏まえ原案を修正

 欧州食品安全機関(EFSA)は24日、2007年2月に欧州委員会から実施を要請されていた体細胞クローンのリスクアセスメントの最終結果を公表した。これは、昨年末にEFSAの科学委員会が取りまとめた原案について今年初めに実施されたパブリックコメントなどを踏まえ修正を加えたもので、「現在の知見に基づけば、牛・豚の体細胞クローンおよびそれらの子孫から得られる食肉・牛乳について、クローンでない家畜から得られるものと差異はみられない。」という判断には変更はない。しかしながら、原案と比較し、データの蓄積に限りがあるため当該リスクアセスメントには不確実性があることが強調されるなどより慎重な書きぶりとなっている。 (詳細はサマリー新旧対象表(仮訳)を参照。)
サマリー新旧対象表(仮訳1)
サマリー新旧対象表(仮訳2)
サマリー新旧対象表(仮訳3)

結論および勧告の内容

 今般のリスクアセスメント結果の結論および勧告のポイントは以下のとおり。

1.結論のポイント

  • 利用可能なデータに限りがあるため、リスクアセスメントを実施できた畜種は牛および豚のクローンおよびそれらの子孫のみ。これらについても、利用可能な研究の数が限られていること、調査されたサンプルの数が少ないことなどから、リスクアセスメントに不確実性が生じている。
  • 相当程度の体細胞クローンにおいて健康および福祉面で悪影響が確認されている一方、身体的特徴、行動、健康状態の指標からみれば、クローンでない個体とそん色ない健康なクローンおよびそれらの子孫が生産されている。
  • クローンまたはそれらの子孫から生産された牛乳および牛・豚の食肉の安全性の評価については、現在の知見に基づけば、健康な牛・豚のクローンおよびそれらの子孫から得られる食品とクローンでない健康な個体から生産されるものとの間に差異はみられない。ただし、これは健康状態の悪い個体は獣医師の検査などによりフードチェーンから排除されることが前提。
  • 環境への影響は予見されないが、利用可能なデータに限りがある。

2.勧告のポイント

  • クローンの健康と福祉を経済動物としての生存期間および自然の生存期間においてモニターすべき。
  • 牛および豚以外の畜種についても体細胞クローンが作出されていることから、データの蓄積を待ってリスクアセスメントを実施すべき。
  • 本答申はクローニング技術の発達、新たなデータの蓄積にあわせて更新すべき。

今後の動向

 結論および勧告に特段の言及はないものの、EFSAの科学委員会は、体細胞クローン動物自体(F0)の商業利用は、一義的には改良におけるエリート動物を作出するためのものであり、食品(食肉、牛乳)の生産のためのものではないとする見解を示している。いずれにしても、今後はリスク管理者(欧州委員会)の動向が注目される。
【前間 聡 平成20年7月25日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 調査課 (担当:井上)
Tel:03-3583-9535