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アイルランド政府が自国産の豚肉などの市場からの隔離を発表

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ダイオキシンに汚染された飼料の豚への給与が原因

 アイルランド政府は12月6日、養豚飼料および豚肉(豚脂)がダイオキシンに汚染されていたことを示す検査結果が得られたとして、アイルランド国内の食肉加工施設に対し、当面、豚をと畜し、豚肉およびその加工品(以下「豚肉など」という。)を出荷することを原則禁止することを通知した。さらに同国政府は、現時点ではダイオキシンに汚染されている可能性が排除できないとして2008年9月1日以降に生産されたアイルランド産のすべての豚肉などを市場から隔離すると発表した。このため、EUのほかの加盟国においてもアイルランド産の豚肉などが店頭から撤去される事態となっている。

 一方、隣国の英国食品安全庁は、大量の汚染された豚肉などを長期間にわたり摂取しない限り人の健康へのリスクは極めて小さいとして冷静な対応を求める一方、念のため、9月1日以降にアイルランドおよび北アイルランド(英国)で生産された豚肉などの摂取を控えるよう勧告している。

 アイルランド政府によれば、汚染された飼料はアイルランド国内の一業者で製造されたものとされており、現時点ではアイルランド国内のほか、北アイルランド(英国)の農場においても汚染飼料が給与されたとみられている。

英国食品安全庁は牛にも汚染飼料が給与されたと発表

 英国食品安全庁は9日付で、ダイオキシンに汚染された飼料がアイルランドおよび北アイルランド(英国)のいくつかの農場で牛に給与されたことが判明したと発表した。今後汚染の程度などの詳細が検査されることとなっているが、牛は多様な飼料を給与されるため、汚染の程度は豚の場合よりも低くなるであろうとみている。

 クリスマス前の需要期ではあるが、この問題がアイルランド産豚肉のみならずアイルランド産および北アイルランド(英国)産牛肉にも波及しかねない状況となったことから、今後のEUの豚肉、牛肉の消費動向に少なからず影響があるとみられる。
【前間 聡 平成20年12月9日発】
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