欧州委、オランダ、カンピーナ社とフリースランド・フーズ社の合併を条件付きで承認
公正な取引を確保するため、業務の一部を本体から分離することなどが必要と判断
欧州委員会は12月17日、オランダの二大乳業であるカンピーナとフリースランド・フーズの合併について、公正取引上の問題が生じないかどうか慎重に調査をしていたが、条件付きで承認することを発表した。これにより、ネスレ(スイス)、ダノン(フランス)、ラクタリス(フランス)に次ぐ年間売上高世界第4位(注)の規模の乳業「フリースランド・カンピーナ」が誕生することとなった。
注: |
(2007年売上高) |
カンピーナ フリースランド・フーズ |
40億ユーロ(5千億円:1ユーロ=126.6円) 51億ユーロ(6千5百億円) |
2008年7月より開始された欧州委員会による調査の結果、オランダ国内における生乳、生鮮乳製品およびチーズ部門、ならびにオランダ、ベルギー、ドイツの3カ国におけるロングライフ乳飲料部門において、寡占が進むことによる問題が生じかねないとされた。このため両社は、
- フリースランド・フーズの生鮮乳製品部門、カンピーナのチーズ部門の一部、およびカンピーナのロングライフ乳飲料2種類を本体から分離するとともに、
- オランダ国内において同業他社への生乳供給を確保すること
を欧州委員会に提案した。欧州委員会もその条件下であれば、公正取引上の問題は生じないと判断した形となった。
両社は合併承認を歓迎
これに対し、カンピーナおよびフリースランド・フーズは同日付で、欧州委員会より基本的に合併が認められたことを歓迎する一方、結果として業務の一部門が本体から分離されることとなったことには十分満足していない旨を公表した。
欧州委員会の調査は、当初2008年11月24日までに最終的な結論を出すとの前提で進められていたが、より慎重な調査が進められた結果、約1カ月の延長となり、この過程で欧州委員会と両社でぎりぎりの調整が行われた模様である。
両社はオランダの農協系の二大乳業であるが、合併による経営規模の拡大の追求という戦略が今後のEU域内および国際市場にどのような効果をもたらすか注目される。
【前間 聡 平成20年12月17日発】
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