2007年の豪州産牛肉日本向け輸出量は前年比6.9%減
2007年牛肉輸出量は、前年度を下回るものの過去3番目の大きさ
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は1月8日、2007年の豪州産牛肉輸出量を公表した。これによると、総輸出量は94万1,419トン(船積重量ベース)で、過去最高を記録した2006年の実績を1.3%下回った。特に2007年後半において、主要輸出国からの需要減、豪ドル高の進展および生産量の減少など影響により輸出が減速した。しかしながら、これは2001年に次ぐ過去3番目に大きい数量となった。
輸出先別では、最大の輸出相手先である日本向けが、37万7,862トン(前年度比6.9%減)と前年実績を下回った。その他の主要輸出先である米国向けは29万5,940トン(同0.2%増)と前年並み、2006年に数量が急増した韓国向けは14万8,930トン(同0.5%減)とほぼ昨年の水準を維持した。そのほかインドネシア向けが2万6,789トン(同120.4%増)と大幅に増加した。
日本向け輸出量は、グレインフェッド牛肉を中心に減少
日本向け輸出は、2003年12月の米国における牛海綿状脳症(BSE)発生の影響により、2004年には大幅に輸出量が増加し40万トン前後で推移したが、2007年は減少に転じた。種類別では、グレインフェッドビーフが17万1,451トン(前年比9.8%減)、グラスフェッドが20万6,413トン(同4.3%減)で、グレインフェッド牛肉の減少幅が大きかった。また、形態別では冷蔵牛肉が大きく減少した。
日本向け輸出が減少した要因としては、日本国内での牛肉消費の停滞に加え、豪ドル高、飼料穀物高騰に伴う生産コストの上昇、さらには日本市場における米国産牛肉との競合の結果、グレインフェッド牛肉を中心として影響が出たものとみられている。
飼料穀物高を反映して、グラスフェッド牛肉へ生産を移行する動き
豪州では、干ばつに伴う飼料穀物の大幅な減産や国際価格の上昇などを反映して飼料穀物価格が上昇したため、フィードロット業者の経営状況が急速に悪化した。豪州フィードロット協会(ALFA)が四半期ごとに行っている調査結果によると、2007年9月現在のフィードロット飼養頭数は680,519頭で、前回調査(2007年6月)と比べて21.8%減と大幅に減少した。豪州フィードロット産業はこれまで拡大傾向を続けてきたが、大きな調整局面に入ったといえる。
こうした中、豪州の生産者は国内向け、輸出向けともグラスフェッド牛肉へ生産を移行する動きが見られる。また、MLAが2007年11月に開催した会議では、これまでグレインフェッド牛肉を対象として行われている格付制度(ミート・スタンダード・オーストラリア:MSA)を、今後、グラスフェッド牛肉にも適用していく方向性が確認された。今後、グラスフェッド牛肉においても、品質面などにおいて差別化が図られていくものとみられる。
2007年の羊肉の日本向け輸出量は大幅な減少
また、MLAは同日付けで、2007年のラム肉輸出量を公表した。2007年の輸出量は、米国、中東、中国向けを中心に前年比9.8%増の16万1,037トン(船積重量ベース)となった。日本向けは、2005年、2006年とジンギスカンブームで輸出量が増加したが、2007年には同28.3%減の8,516トンと大幅に減少した。
【井田 俊二 平成20年1月10日発】
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