フィードロット飼養頭数、飼料価格上昇などで4期連続の減少(豪州)
飼養頭数は58万頭と大幅減、4期連続での前年同期比割れ
豪州フィードロット協会(ALFA)は1月14日、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)との共同調査による四半期ごとの全国フィードロット飼養頭数調査結果を発表した。これによると、2007年12月末時点の総飼養頭数は58万4千頭となり、前回調査(2007年9月末)比で14.1%減、前年同期比では35.7%減といずれも大幅に落ち込んだ。また、フィードロット稼働率は、収容能力が115万2千頭と緩やかに拡大する中で、飼養頭数の大幅な減少を受けて前回調査から8.4ポイント減となる50.7%と、史上2番目の低水準に落ち込んだ前回調査をさらに下回る結果となった。
フィードロット飼養頭数について州別の飼養動向を見ると、輸出向けの主要生産拠点であるクイーンズランド(QLD)州、ニューサウスウェールズ(NSW)州で減少幅が目立っている。QLD州では、前年同期に比べて14万8千頭減、NSW州では12万1千頭と、いずれも10万頭を超える減少となっており、これらが、全体のフィードロット飼養頭数減少の最大要因となっている。
穀物価格、為替相場などマイナス要因が多々、状況の好転は不透明
フィードロット飼養頭数の大幅減についてALFAでは、(1)干ばつにより高価格で推移する飼料穀物、(2)肉用素牛価格の上昇、(3)米ドルや円に対して豪ドル高で推移している為替相場−などを要因に挙げている。豪州国内の飼料穀物価格は、2006年、2007年と2年続いた干ばつで高値での推移を続けており、特に2007年第4四半期(10〜12月)の飼料穀物(小麦、大麦、ソルガム)価格は平年に比べ3割近い値上がりとなった。また、肉用素牛価格については、干ばつによる早期出荷が既に一段落したことで、市場への供給頭数が減少していることに加え、主産地での降雨による放牧環境の好転もこれを後押ししている。さらに平均為替相場を見ると、この1年間で豪ドルは米ドルに対して16%、円に対して11%、それぞれ上昇しており、フィードロット産業にとっては、輸出環境悪化の最大要因となっている。このため、導入する肉牛頭数を減らし、できるだけ短い肥育期間で出荷させることで経営を維持するフィードロットも数多く現れており、経営環境がより厳しさを増している。
今後の見通しについてALFAでは、2007/08年度のソルガムなど夏穀物の収穫見通しが良好と伝えられており、干ばつが徐々に緩和される中で飼料穀物価格も下落し、フィードロット産業の経営改善につながることを期待している。一方で、飼料穀物の利用によるエタノール燃料の生産については、連邦政府に対して誤った方向に進むべきではないとした上で、NSW州政府によるガソリンへのエタノール原料の使用義務化について、現在の穀物情勢を勘案すると、実効性は難しいとして義務化の取り消しを求めている。
【横田 徹 平成20年1月21日発】
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