豪州国内の農業者で組織する全国農業者連盟(NFF)は4月3日、慢性的に不足する農業労働者の確保に向けた行動計画「Labour Shortage Action Plan」を発表した。NFFによれば、干ばつにより大きく落ち込んだ農業の生産レベルを干ばつ以前の水準に回復させるためには、約10万人の新規就農者が必要としている。
今回発表された行動計画では、農業の基幹となる穀物、羊、肉牛部門などで、より高い知識と経験を必要としていることから、特に労働人口が不足する地域を重点にこれらに対するトレーニングなどの実施や包括的な地域発展の取り組みの実施を核としている。豪州では、輸出需要が高い石炭や鉄鉱石など資源ブームを背景とした高賃金により、農村部などから大量の労働者が流出しており、食肉処理・加工部門を含めた畜産関係などでの労働者不足が大きな問題となっている。
また、NFFでは、都市部に集中しがちな人口を地方都市に分散させるため、観光などを通じて地方都市のすばらしさをアピールするとともに、現在の労働ビザの発給基準について、発給対象となる労働者については、すでに熟練した技術を持っていることから他の産業との取り合いが厳しく、農業分野での労働力を満たすことは難しいとした上で、発給基準のさらなる柔軟性が求められるとしている。
なお、今回の計画は同日、連邦政府の副首相、農漁林業相など関係閣僚に対して提出された。