フィードロット飼養頭数、若干の回復ながらも引き続き低水準(豪州)
飼養頭数は60万4千頭に増加も、稼働率は依然として5割台に低迷
豪州フィードロット協会(ALFA)は4月14日、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)との共同調査による四半期ごとの全国フィードロット飼養頭数調査結果を発表した。これによると、2008年3月末時点の総飼養頭数は60万4千頭となり、前回調査(2007年12月末)に比べて3.3%増加したことで、4期連続となった飼養頭数の減少に若干の歯止めをかける形となった。しかし、前年同期との比較では、飼養頭数は30.8%の減少と依然として大幅な落ち込みが続いている。
一方、フィードロット稼働率については、今後の東南アジア向け需要などを見込んで全体の収容能力が118万7千頭(前回調査から3万頭以上の増加)と拡大する中で、飼養頭数の伸びが低かったことから50.9%となり、最低の水準にまで落ち込んだ前回調査(50.7%)とほぼ同じ結果になった。
QLD州など主要産地での減少が要因
フィードロット飼養頭数について州別の飼養動向を見ると、輸出向けの主要生産拠点であるクイーンズランド(QLD)州が前回調査に続いて減少したほか、ビクトリア(VIC)州などで減少となった。QLD州では、前年同期に比べて14万7千頭減、今回調査で前回調査から増加となったニューサウスウェールズ(NSW)州でも同9万頭減と、いずれも主要生産地で大幅に減少しており、これらが、全体のフィードロット飼養頭数を低迷させる大きな要因となっている。
穀物価格の低下が回復要因、一方で輸出環境は厳しい状況が続く
フィードロット飼養頭数が前回調査から若干の回復をみせたことについてALFAでは、この四半期でフードロットでの主要飼料原料となるソルガム、大麦の価格が、それぞれ23%安、17%安になったことを挙げている。これにより、高い水準を維持する素牛価格や豪ドル高で推移する為替相場に対して、わずかであるが相殺要因になったとみている。
一方で、主要輸出先である日本、韓国、米国向けの穀物肥育牛肉の輸出量(2007年6月〜2008年3月)は、2007年同時期と比較してそれぞれ、22%、27%、52%の減少となっており、輸出環境は引き続き厳しい状況にある。MLAでは、輸出向けの飼養頭数は、前年同期と比べて30%減に落ち込んでおり、輸出市場での豪ドル高で推移する為替相場の影響や米国産牛肉との競争をその要因として挙げている。
今後の見通しについてALFAでは、世界的な穀物生産の拡大が予想されることで、飼料価格の低下が期待できることからフィードロットの経営環境は改善に向かうとしながらも、エタノール生産に対する各国の支援が続けば、状況は引き続き厳しいとして、豪州でのエタノール生産の拡大に対して警戒を強めている。
【横田 徹 平成20年4月14日発】
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