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2007年の豪州食肉処理業者、上位25社を公表

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食肉処理量は、上位25社で豪州全体の78.9%を占める

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)はこのたび、2007年の食肉(牛肉および羊肉)処理業者上位25社を公表した。2007年における上位25社の処理量(枝肉ベース)は、226万4千トンと豪州全体の78.9%を占めており、また、この処理工場数は、51カ所となっている。畜種別食肉処理業者数は、牛肉が14社と最も多く、羊肉が5社、多畜種が6社となっている。

 上位5社の処理量は127万7千トンで、豪州全体の処理量に対するシェアは前回調査(2006年)に比べ3.0ポイント上昇し44.5%を占めており、また、処理工場数は21カ所となっている。畜種別食肉処理業者数は、牛肉が4社、多畜種が1社となっている。
2007年食肉処理業者上位10社

上位7社の順位は変更なし。上位2社はシェアを伸ばす

 上位の内訳を見ると、7位までの順位は前回調査と変動がなかった。第1位はJBSスイフト・オーストラリア(JBS)社で、年間処理量は前回調査比3.9%増の45万3千トンとなった。豪州全体の処理量に対するシェアは同0.5ポイント上昇し15.8%を占める。JBS社(旧社名:オーストラリア・ミート・ホールディングス社)は2007年7月、米国資本のスイフト社からブラジル資本のJBSフリボイ・グループに経営権が移転し誕生した業者で、クイーンズランド(QLD)州に4カ所の食肉処理工場を有する。第2位はティーズ・ブラザーズ社で、年間処理量が同26.2%増の34万5千トンと大幅に増加した。この結果、豪州全体の処理量に対するシェアは同2.4ポイント上昇し12.0%を占める。同社の処理量は前回調査でも大幅に増加しており、2004年(前々回調査)〜2007年の間に処理量が68.3%増と大幅に増加したこととなる。同社は、QLD州(4カ所)、北部準州(1カ所)および南オーストラリア州(1カ所)に計6カ所の処理工場を有する。ただし、このうち2カ所は2007年時点で操業を休止しており、今後、家畜の集荷、気象および労働力といった稼働条件が整った時点で操業を再開するものと見られている。このほか第6位のT&Rパストラル社は、年間処理量が13万3千トンと前回調査比33.2%増と大幅に増加している。これは、工場処理能力の拡大および工場操業における2シフト制導入によるものである。
 
 なお、第1位のJBS社は2008年3月、第4位のタスマン・グループ・サービスイズ社を買収している。タスマン社は年間処理量が16万3千トンで豪州全体の5.7%を占めており、多畜種処理業者としては豪州で最も大きい。同社は、ビクトリア(VIC)州およびタスマニア(TAS)州にそれぞれ3ヵ所、計6ヵ所の食肉処理工場を有している。この買収により、両社を合わせた2007年の年間処理量は61万6千トンで豪州全体の21.5%を占めることとなる。また、食肉処理工場は、QLD州(4カ所)、VIC州(3カ所)、TAS州(3カ所)の計10カ所となる。

2007年は干ばつの影響で豪州南部を中心にと畜が増加

 2007年は、TAS州、西オーストラリア州の一部およびニュー・サウス・ウエールズ州で干ばつが厳しく、牧草不足や飼料穀物および粗飼料価格が上昇したため、肉牛や羊のと畜率が上昇し飼養頭数の減少を招いた。
このため、2007年の牛および羊飼養頭数は前年を下回った。また、穀物肥育牛の飼養頭数は、高水準で推移する飼料穀物価格を背景として引き続き減少した。また、2007年春期からは、気象条件の改善に伴い多くの農家で家畜の出荷頭数を減らし、2008年に向けて群の再構築を図る動きが見られた。
【井田 俊二 平成20年11月4日発】
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