2008/09年度の冬穀物生産、南東部での乾燥気候により下方修正(豪州)
2008/09年度の冬穀物主要3品目の生産量は、前回予測から14%の下方修正
豪州農業資源経済局(ABARE)は11月5日、2008/09年度(7〜6月)の冬穀物主要3品目(小麦、大麦、カノーラ)の生産見通しを発表した。
ABAREは、前回9月公表時は、前々回6月公表時から下方修正したものの、3千万トン台の生産量を見込んでいた。これは、冬穀物の育成期に当たる6〜8月の間、クイーンズランド(QLD)州を除く主要穀物生産地域で、降水量が平年並みまたはそれ以下となり、特に8月は乾燥気候となったが、8月終わりから9月初めにかけての広範囲にわたる降雨が冬穀物にとって絶好のタイミングとなったためである。
今回のABAREによる見通しでは、前回の公表後、作期後半に当たる春季において南東部の多くの地域で乾燥気候となったことから、同生産量を2,753万トンと前回公表値から14%引き下げた。しかし、この見通しは、凶作となった前年度と比べれば38%上回るほか、過去5カ年度平均(2002/03年度〜2006/07年度)と比べても同水準となっている。
品目別には、前回予測から11%〜20%の下方修正
品目別に9月公表時と比較して見ると、小麦が11%減の1,991万トン(前年度比53%増)、大麦が20%減の630万トン(同6.3%増)、カノーラが19%減の133万トン(同25%増)と見込まれる。
VIC州、SA州、WA州で下方修正、NSW州は前回並み、QLD州は上方修正
また、州別に9月公表時と比較して見ると、ビクトリア(VIC)州で、9〜10月の降雨量が平年をかなり下回ったことから、49%減の234万トンと大幅な減少が見込まれる。南オーストラリア(SA)州も、同期間の降雨量が平年以下となったことから、32%減の398万トンと大幅な減少が見込まれる。ニューサウスウェールズ(NSW)州では、同期間における天候状況に地域間のばらつきがあり、北部や中西部で良好であったが、南部では不良だったことから、同州の生産量は、前回公表とほぼ同じ839万トンとの見込みである。豪州最大の穀物生産州である西オーストラリア(WA)州は、穀物ベルト地帯における霜害による影響などから、4.4%減の1,087万トンと見込まれる。一方、気象条件に比較的恵まれたQLD州は、15%増の190万トンと見込まれている。
【玉井 明雄 平成20年11月6日発】
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