酪農開発委員会、国家酪農計画を作成(インド)
2021年度の計画目標は1億8千万トン
インドは、国連食糧農業機関(FAО)の統計によれば、97年に米国を抜いて以来、世界最大の生乳生産国である(水牛・ヤギ乳を含む)。その生産量は増加し続けており、2005/06年度には約9千7百万トンであったが、2006/07年度には約1億トンに達すると予想されている。
インド酪農開発委員会(NDDB)は、2021年度を目標年度とした国家酪農計画を作成した。この計画では、2021年度の生乳需要は1億8千万トンに達するとしており、この需要を満たすためには、年間5百万トンの増産が必要としている。そして、この努力目標を達成するために、期間内に1,730億ルピー(約4,671億円:1ルピー=2.7円)規模の投資を計画している。
これらの投資計画には、(1)家畜改良や人工授精の促進、飼料改善などによる生産性向上、(2)村レベルでの集乳や品質管理に必要な設備、生乳加工やマーケティングなどのインフラの整備、(3)(1)および(2)を達成するための既存機関の強化や新規機関の促進などが含まれている。
また、この投資は、NDDB、全国農業農村開発銀行、全国協同組合開発公社から成る共同事業体が、酪農協や私企業、非政府組織などから集めた資金や中央政府からの助成金による基金を設立して行うとしている。
さらに、現在農協や企業を通じて「組織的」に市場に出荷される生乳の割合は約3割で、残りの7割は「非組織的」に出荷されていると見込まれているが、この計画の達成により、「組織的」生乳出荷の割合を65%まで引き上げることができ、これにより消費される牛乳の品質向上が図られるとしている。
粉乳メーカーは生産能力の向上を計画
一方、一部報道によれば、複数の粉乳メーカーが粉乳生産能力の向上を計画している。
インドは、乳製品価格の高騰による国内の消費者価格上昇の懸念と、暑期の生産性低下に伴い予想される脱脂粉乳不足を解消するために、昨年2月から9月まで粉乳輸出を停止した。この間、粉乳メーカーからは根強い解除の要請があったが、9月31日でこの輸出停止期間が終了し、10月1日から輸出が可能になったことを受けて、複数の粉乳メーカーが生産能力の向上を計画している。報道されているものを合計すると、2009年中ごろには、現状と比較して年間の生産能力は7万3千トン向上される。
【佐々木 勝憲 平成20年2月7日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 調査課 (担当:平石)
Tel:03-3583-9534