2008年上半期のトウモロコシ生産量は大幅増の見込み(フィリピン)
フィリピン農務省は2008年上半期のトウモロコシ生産量が大幅に増加すると予想
フィリピン農務省(DA)は、2008年上半期(1〜6月)におけるトウモロコシの生産量予測値を公表した。
それによると、ハイブリット品種の利用拡大や耕作地の増加により、前年同期比21.2%増となる334万トンの生産が見込まれている。過去5年間の上半期におけるトウモロコシ生産量をみると、2005年上半期では全国的な干ばつや局地的な洪水による被害が大きかったことから同15.5%減の197万トンであったが、2006年以降はエルニーニョによる天候不順の影響はあったものの生産量は増加傾向で推移している。
飼料用黄色トウモロコシの生産割合が増加
同国におけるトウモロコシの年間生産量については、99年以降400万トン台で推移してきたが、2004年に約541万トン、2006年には約608万トンに達するなど増加傾向で推移しており、2007年生産量(速報値)は前年比10.8%増の約674万トンとなっている。従来、トウモロコシの耕地面積は減少傾向で推移しており、生産量の増加はハイブリット品種の利用拡大などによる単位面積当たりの収穫増に依存していたが、同国中部のヴィサヤ地域や南部のミンダナオ地域などで未利用地の開発を進めたことなどにより2006年以降の耕地面積は増加に転じている。トウモロコシの耕地面積は2006年が同5.3%増の約257万ヘクタール、2007年は同3%増の約265万ヘクタールとなっている。
また、トウモロコシは主に食用に供される白色トウモロコシと飼料用に供される黄色トウモロコシとに区分される。2007年生産量(速報値)では、白色トウモロコシが同7.1%増の約253万トン、黄色トウモロコシが同13.1%増の約421万トンで、生産量全体に占める黄色トウモロコシの割合は62.5%となっている。おおむね、生産量全体に占める黄色トウモロコシの割合は約6割であるが、養豚業や養殖業などの飼料用需要の増加もあり、その比率は年々上昇している。
需要増により黄色トウモロコシは高値で推移
トウモロコシの生産量は増加傾向で推移しているが、黄色トウモロコシについては飼料用需要がひっ迫しているため、生産者販売価格は2005年11月以降おおむね前年同月比10%高前後で推移している。2007年における黄色トウモロコシの生産者販売価格はキログラム当たり9〜10ペソ台(22〜24円:1ペソ=2.4円)、白色トウモロコシについては年間を通して9〜11ペソ台(22〜26円)で推移している。DAは、生産者販売価格が好調に推移した要因について、主に飼料向けとコーン油向けの需要が伸びたためと分析している。
黄色トウモロコシの生産者販売価格については、今年に入ってからも前年同月比10%高前後で推移しており、2008年4月の価格はキログラム当たり11.04ペソ(26円)となっている。
【林 義隆 平成20年5月13日発】
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