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中国と自由貿易協定を締結(シンガポール)

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シンガポールにとって16番目となる自由貿易協定の署名

 2008年10月23日、北京市の人民公会堂において、シンガポールのリム・フンキャン貿易産業相と中国の陳徳銘商務部長とが両国首相列席の下、自由貿易協定(FTA)の合意文書に署名した。中国シンガポールFTA(CSFTA)は、2006年8月に交渉開始に合意、同年10月から交渉が開始され、2008年9月に交渉が終了していた。シンガポールはこれまでに、ASEAN自由貿易地域(AFTA)の他に、ニュージーランド(NZ)、日本、欧州自由貿易連合(アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイス)、豪州、米国、インド、ヨルダン、韓国、パナマ、太平洋3カ国(チリ、NZ、ブルネイ)との間でのFTAを発効させており、ペルーとの間で署名済みとなっている。また、ASEANとしては、中国、韓国との間のFTAが発効しており、日本とのFTAは2008年4月に署名済みとなっている。
 
 シンガポール貿易産業省(MTI)の発表によると、CSFTAは中国にとって初のアジア諸国との包括的二国間協定であり、両国内の手続きを経て、2009年1月1日に発効する予定とのことである。
 
 CSFTAは、アセアン中国FTA(ACFTA)を基礎とし、物品貿易、原産地規則、通関手続き、貿易救済措置、貿易の技術的障壁、衛生と植物検疫措置、サービス貿易、人の移動、投資、経済協力を対象としている。

 両国間の2007年の貿易額は916億シンガポールドル(約6兆273億円:1シンガポールドル=65.8円)に達し、シンガポールにとって中国はマレーシア、米国に次ぐ3番目の、中国にとってシンガポールは8番目の貿易相手国となっている。また、中国はシンガポールからの最大の投資先であり、シンガポールは中国にとって7番目の投資国となっている。MTIは、CSFTAによって、貿易障壁の削減と撤廃により両国間の経済関係が促進され、相互の市場の連携を発展させる機会が創出されるとしている。

2010年には対中輸出額の95%が関税撤廃の対象

 MTIの発表によると、中国は、シンガポールからのすべての輸出品目のうち260品目を除く品目への関税を2010年までに撤廃する。撤廃される品目には石油化学製品、加工食品、電子機器、電気製品といった主要品目が含まれており、2007年実績ベースでは、対中輸出額の約95%を占める。特に85%以上を占める品目については、CSFTAの発効に伴い、2009年1月1日から関税が撤廃される。残りの10%の品目については2010年1月1日に撤廃される。
 
 一方、シンガポールは、ビールとサムスー(ハーブなどを配合した穀物蒸留酒)にしか関税を掛けておらず、ACFTAにおいてもセンシティブ品目としてこれらの関税を撤廃しなかった。しかしながら、CSFTAでは、これらを含むすべての中国からの輸出品に掛かる関税が2009年1月1日に撤廃される。
【佐々木 勝憲 平成20年10月23日発】
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