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トウモロコシの2008年生産予測を下方修正(フィリピン)

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天候などの影響が予想される下半期のトウモロコシ生産

 フィリピン農務省(DA)は、2008年のトウモロコシ生産量について、前年比3.1%増の695万トン前後になるとの見通しを公表した。当初、DAは2008年トウモロコシ生産量について、生産者によるハイブリット品種の利用拡大や作付面積の増加に伴い、2006年以降増加傾向で推移していることから、生産目標数量を同10%増の740万トンに設定していた。しかし、DAは6月下旬にフィリピンを襲った大型台風による被害などにより、2008年通年のトウモロコシ生産量は、前年実績である674万トンを上回るものの、下半期における生産量が当初の予測どおりに伸びないと下方修正した。

 上半期(1〜6月)におけるトウモロコシ生産は、前年同期比19.6%増の329万トンとなり、DAが予測した334万トンをわずかに下回るにとどまった。しかし、下半期(7〜12月)については、前述のとおり大型台風による被害のほか、多雨による土壌不良のため作付が遅れたことから同8.3%減の365万トンと予想されている。今年前半の降水量は、平年(約12,000ミリメートル)の倍に当たる約23,900ミリメートルを記録しており、特に中部および南部の降水量が多い。このため、国内トウモロコシ生産量のうち約6割を占めるミンダナオ地域の減産が予想されている。

 また、DAは肥料代の高騰による肥料使用量の縮小なども、トウモロコシ生産量に影響を与えるとしている。DAによれば、9月の化学肥料(複合肥料)の販売価格は、前年同月比135.9%高の1袋(50キログラム)当たり1,946.00ペソ(約4,087円:1ペソ=2.1円)となった。化学肥料(複合肥料)の販売価格については、昨年は1袋当たり757.02〜865.8ペソ(約1,590〜1,818円)であったが、今年2月以降は同1,000ペソを超える水準で推移しており、1〜9月までの平均では、前年同期比95.6%高の1,540.24ペソ(約3,235円)となっている。
表 トウモロコシ生産量推移
化学肥料(複合肥料)平均販売価格推移

黄色トウモロコシ生産量はかなり増加

 トウモロコシは、主に食用に供される白色トウモロコシと飼料用に供される黄色トウモロコシとに区分されるが、DAは2008年のトウモロコシ生産量について、白色トウモロコシは前年比10.6%減の226万トン、黄色トウモロコシは同11.4%増の469万トンと予測している。

 トウモロコシの作付面積は、2006年以降増加傾向で推移しているが、2008年では前年比0.3%増の266万ヘクタール、このうち白色トウモロコシは同7.2%減の136万ヘクタール、黄色トウモロコシは同9.7%増の129万ヘクタールになると予測されている。養豚産業や養鶏産業における飼料需要の増加により、黄色トウモロコシの作付面積は増加傾向で推移しており、過去5年間で生産量は82.9%、作付面積は53%それぞれ増加している。一方、白色トウモロコシについては、過去5年間で生産量は10.1%増加しているが、作付面積は12.9%減少している。
白色トウモロコシ生産量および作付面積推移
黄色トウモロコシ生産量および作付面積推移

トウモロコシは引き続き高値で推移

 トウモロコシの生産者販売価格は、白色トウモロコシおよび黄色トウモロコシともに高値で推移している。白色トウモロコシについては、2008年前半における世界的な米不足に伴う食糧需要の増加により、一時はキログラム当たり14.85ペソ(約31円)まで上昇したほか、黄色トウモロコシも飼料用需要の増加により1月以降はキログラム当たり10〜11ペソ台(約21〜23円)で推移している。

 9月の生産者販売価格については、白色トウモロコシが前年同月比29.0%高のキログラム当たり12.02ペソ(約25円)、黄色トウモロコシが同6.5%高のキログラム当たり10.45ペソ(約22円)となった。白色トウモロコシについては一時のピークは過ぎたものの、黄色トウモロコシとともに引き続き前年を上回る水準で推移している。
トウモロコシ生産者販売価格推移
【林 義隆 平成20年11月17日発】
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