畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 海外情報 > 2008年 > 米国農務省、2007年産の穀物需給見通しを大きく修正

米国農務省、2007年産の穀物需給見通しを大きく修正

印刷ページ
 米国農務省(USDA)は1月11日、2007年産の主要農作物の生産・需要見通しと、冬小麦の作付面積予測を公表した。

トウモロコシの生産量を下方修正し、平均農家販売予測価格を大幅に引き上げ

 全国農業統計局(USDA/NASS)が公表した主要作物の生産見通しによると、2007年産のトウモロコシの生産量は前月(12月)の予測値から9,400万ブッシェル引き下げられ、130億7,400万ブッシェルとなった。
これは、収穫面積が47万エーカー上方修正される一方、1エーカー当たり収量が151.1ブッシェル(前月予測から1.9ブッシェル減)に引き下げられたためである。

 一方、世界農業観測ボード(USDA/WAOB)が公表した世界農産物需給推計によると、2007/2008穀物年度(2007.9〜2008.8)のトウモロコシの総需要量は前月の予測値から2億6,500万ブッシェル引き上げられ、129億5,500万ブッシェルとなっている。このうち、飼料向けは前月予測から3億ブッシェル引き上げられ59億5,000万ブッシェルとなったが、製造工場の収益性が若干持ち直してきているエタノール向けは32億ブッシェル、前年を上回るペースで契約が進んでいる輸出向けは24億5,000万ブッシェルと、いずれも前月同様の予測となっている。
ちなみに、12月1日現在の米国の豚飼養頭数は前年同期を4.2%上回っており、特に秋口の子豚の離乳頭数が大きく増加していることから、USDAは2008年前半の豚肉生産量は前年を5.2%上回ると予測している。

 この結果、トウモロコシの2007/2008年度期末在庫予測量は、前回予測値の17.97億ブッシェルを3.59億ブッシェル下回る14.38億ブッシェルに引き下げられている。USDA/NASSが公表した昨年12月1日現在の在庫数量は102.69ブッシェルと前年を15.0%上回っているが、エタノール向けの拡大により、2007/2008年度の需要量は前年を15.6%上回ると見込まれており、トウモロコシの需給全体で見ると、必ずしも在庫が潤沢とはいえない状況にある。

 また、高騰する先物取引価格の動向を踏まえ、平均農家販売予測価格は4カ月連続で上方修正され、3.70〜4.30ドル/ブッシェル(403〜469円/ブッシェル:1ドル=109円、前月予測から0.35ドル/ブッシェル高)に引き上げられている。

大豆の在庫量は2003/2004穀物年度以来の低水準に

 2007年産の大豆の生産量は、1エーカー当たり収量が41.2ブッシェルに下方修正されたことから、前月の予測値を900万ブッシェル下回る25億8,500万ブッシェルとなった。これに対し、需要については搾油向け、輸出向けともに前月の見通しから変更はなく、全体としてほぼ前月予測並みの29億9,000万ブッシェルとなっている。

 この結果、大豆の期末在庫予測量は、前回予測の1億8,500万ブッシェルをさらに1,000万ブッシェル下回る1億7,500万ブッシェルに下方修正された。これは、前年度末の在庫水準5億7,400万ブッシェルを大きく下回り、2003/2004穀物年度末に在庫量が1億1,200万ブッシェルとなって以来の低水準となる。また、大豆の先物価格は年初にブッシェル当たり13ドル(1,417円)の高値を記録するなど高騰を続けており、平均農家販売価格は5カ月連続で上方修正され、9.90〜10.90ドル/ブッシェル(1,079〜1,188円/ブッシェル、前月予測から0.65ドル/ブッシェ
ル高)に引き上げれられている。

冬小麦の作付面積は前年度を4%上回るも、硬質小麦の作付けは減少

 USDA/NASSが公表した2008年産の冬小麦の作付面積予測は、全体では前年を4%上回る4,661万エーカーとなった。このうち、硬質小麦の作付けは主産地である南部平原地域の降水量不足により3,250万エーカーと前年を1%下回ったものの、軟質小麦の作付けは1,050万エーカー、白色小麦の作付けは365万エーカーと、それぞれ前年を21%、7%上回っている。また、干ばつの影響で作付けはやや遅れ気味であり、11月末の時点での生育状況は昨年に比べてやや悪いとしている。

 米国の小麦の約75%は冬小麦であり、その多くをタンパク質割合の高い硬質小麦が占める。国際価格が高騰する中で、冬蒔き硬質小麦の作付面積が前年よりも減少したことにより、主に北部平原州で作付けされる春小麦の取引を行うミネアポリスの穀物取引所の小麦価格動向と、今春の北部平原州での作付け動向に注目が集まっている。

米国の主要穀物需給見通し(2008年1月11日公表)

表 米国の主要穀物需給見通し
【郷 達也 平成20年1月15日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 調査課 (担当:藤井)
Tel:03-3583-9532