シェーファー米農務長官およびシュワブ米通商代表は4月18日、米韓両国政府が同日、米国産牛肉に対する輸入制限措置を一定の条件の下、段階的に緩和することで合意に至ったとする声明を公表した。
今回の合意は、30カ月齢未満の牛由来の骨付き牛肉について、一定の条件の下で輸出が可能となること、また、今後、米国が飼料規制の強化を公表した段階で、30カ月齢以上の牛肉についても輸出が可能となることを主な内容としている。
なお、今回の合意内容は、本年5月中旬に適用されることとなっている。
米国産牛肉の韓国向け輸出は、2003年12月に米国でBSEが確認されたことを受け一時的に停止されたが、両国は2006年1月、30カ月齢未満の牛由来の骨なし牛肉に関する一定の輸入条件に合意し、牛肉輸出は一部再開した。しかし、2007年10月、輸出条件に反する牛肉製品が確認されたことにより、それ以降、同国向け輸出は事実上停止されていた。
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2007年の韓国向け牛肉輸出量(枝肉重量ベース)は、前年比約60倍の7,792万ポンド(3万5千トン)と前年を大幅に上回ったものの、BSE確認前と比べると、2003年水準(5億8,662万ポンド:26万6千トン)の約1割強(13.3%)を占める程度にとどまっていた。
このような中、両国政府が米国産牛肉の輸入制限措置を段階的に緩和することで合意したことを受け、米国の食肉関係団体は同日、今回の合意を一様に歓迎する声明を公表している。
米国最大の肉用牛生産者団体である全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)は、「これまでの韓国向け牛肉輸出については、同国で一般的な骨付き牛肉が除外されていたため、米国の生産者にとって決して有効とはいえなかった。米国の肉牛生産者は、待望の韓国市場の再開を歓迎する」と述べるとともに、今後の月齢制限の撤廃および米韓FTAの進展に向けた意欲を示している。
また、米国産食肉の輸出向けPRを行う米国食肉輸出連合会(USMEF)のフィリップ・セング会長は、「この合意は、米国の牛肉産業および韓国の消費者双方にとって素晴らしい知らせである。われわれは、韓国内で4年間以上満たされることのなかった高品質な米国産牛肉に対する高い需要を認識している」と述べるとともに、米韓FTAの議会承認のための大きな障害の一つが取り除かれたとし、同協定の完全実施への期待を表している。
なお、4月18日午後にUSDA農業市場流通局(AMS)が公表した牛部分肉の取引実績報告によると、主に焼き肉に使われるショートリブ(123A、チョイス級)の工場出荷価格は前日比13.3%高の206.82ドル/100ポンド(465.1円/kg、1ドル=102円)、チャックショートリブ(130、チョイス級)の工場出荷価格は前日比8.9%高の160.22ドル/100ポンド(360.3円/kg、同)と、いずれも前日の平均価格を上回っている。