米国農務省、2008年度のトウモロコシ生産量は前年度比7%減の見込み
トウモロコシ生産は前年度比7%減、需要はほぼ横ばいも価格は引き続き高騰
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)は、5月9日に公表した世界農産物需給推計の月次報告の中で、WAOBとしては初めてとなる2008年度(2008年9月〜2009年8月)における米国のトウモロコシ需給見通しを示している。
これによると、同年度のトウモロコシ生産量は、単収(90〜2007年の全米平均に今年の作付け状況を踏まえた推計値)は前年度水準をわずかに上回るものの、作付面積が前年度比8%減とされている(同省全国農業統計局(NASS)が今年3月31日に公表した生産者への意向調査結果ベース)ことから、同7%減の121億2,500万ブッシェル(3億798万トン)と見込まれ、同省が今年2月の農業観測会議で示した予測値に比べさらに5%程度下方修正されている。
トウモロコシ需要を見ると、飼料等向け、エタノール向け、輸出向けのいずれもが、2月の予測値から2%程度下方修正された結果、全体では前年度比2%減の127億6,000万ブッシェル(3億2,410万トン)と見込まれている。同省では、このトウモロコシ需要の拡大が全体的に減速すると予測されることについて、(1)価格高による飼料利用の減少、(2)主要生産国における飼料作物の生産増などによる国際競争の激化、(3)エタノール工場の建設・拡張の速度および稼働率の低下−などをその要因としている。
このように、同年度のトウモロコシ需要はおおむね横ばい傾向で推移するものの、昨年度過去最高を記録した生産量がかなりの程度減少することから、2008年度末の国内在庫量は、2月の予測値からさらに4割程度引き下げられ、前年同期比45%減の7億6,300万ブッシェル(1,938万トン)と見込まれている。この結果、トウモロコシの生産者平均販売価格は、前年度を2〜4割程度上回る1ブッシェル当たり5〜6ドル(トン当たり20,866〜25,039円:1ドル=106円)で推移するものとみられている。
なお、同省経済調査局(ERS)によると、トウモロコシの生産者月平均販売価格は、2007年初頭以降、1ブッシェル当たり3ドル(トン当たり12,520円)台で比較的安定して推移していたものの、今年に入ってから急激に上昇し、4月の月平均販売価格は、前年同月を約7割上回る同5.59ドル(23,328円)となっている。
大豆生産は前年度比20%増も在庫量は低水準、価格は依然として高水準
一方、大豆の生産量は、作付面積(3月31日のNASS公表ベース、前年度比18%増)、単収(89〜2007年の地域別の分析結果、同2%増)がともに前年度水準を上回ることから、同20%増の31億500万ブッシェル(8,446万トン)と見込まれ、2月の予測値に比べさらに5%程度上方修正されている。
大豆需要を見ると、国内搾油向けは2月の予測値とほぼ同水準とされる一方、輸出向けが15%程度上方修正された結果、全体では同2%増の30億7,300万ブッシェル(8,359万トン)と見込まれている。なお、大豆ミールの生産量は、前年度比0.3%増の4,398万5千ショート・トン(4,848万4千トン)と、前年度とほぼ同水準と見込まれている。
このように、今回、大豆生産予測がやや引き上げられたことにより、2008年度末の国内在庫量は、2月の予測値から9%程度上方修正されたものの、在庫水準は依然として低水準にとどまっていることから、生産者平均販売価格は、前年度を1〜2割程度上回る1ブッシェル当たり10.5〜12.0ドル(トン当たり40,919円〜46,764円)で推移するものと見込まれている。
なお、ERSによると、大豆の生産者月平均販売価格は、2006年度初頭以降、ほぼ毎月前月を上回って推移しており、今年4月の月平均販売価格は、前年同月を約7割上回る同11.80ドル(45,985円)となっている。
【唐澤 哲也 平成20年5月15日発】
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