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米国農務省、2008年産トウモロコシの生産予測量を引き上げ

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 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)は8月12日、6月上旬の洪水による農地被害状況の追加調査結果と、8月1日現在の全国作況調査に基づく単収予測を踏まえ、2008年の主要農作物の生産予測量を公表した。

 これによると、2008年産のトウモロコシ生産予測量は122億8,788万ブッシェルと米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)が公表した7月の予測値から大きく引き上げられている。この水準は史上最高の生産量を記録した昨年の実績を6.0%下回るものの、史上2番目に多い生産量となる。
 生産予測量が増えた最大の要因は、8月1日現在のトウモロコシの1エーカー当たり収量予測値が、昨年を3.9ブッシェル上回る155.0ブッシェルに引き上げられたことである。地域別に見ると、洪水による被害が懸念されたコーンベルト中心部で単収の落ち込みが最小限にとどまる一方、南部を除く主要生産州では昨年以上の単収が見込まれている。USDA/NASSは2004年に次ぐ高単収が見込まれる理由として、コーンベルトの主要州で単位面積当たりの株数が昨年を上回っていること、6月下旬以降の好天により生育状況が好転していることを挙げている。
 また、中西部の洪水被害地における追加調査の結果、トウモロコシの推定収穫面積は6月の調査結果を上回る7,929万エーカーに引き上げられている。推定作付面積は6月の調査結果に比べて引き下げられた(8,698万エーカー)ものの、アイオワ州やイリノイ州などで推定収穫面積が引き上げられており、これも生産予測量の引き上げの一因となっている。
 なお、大豆については、推定作付面積および推定収穫面積がいずれも6月の公表数値から引き上げられたものの、生産予測量については29億7,258万ブッシェルとUSDA/WAOBの7月予測値からわずかに引き下げられた。これは、1エーカー当たり収量予測値が引き下げられ、昨年を下回る40.5ブッシェルとされたためであり、USDA/NASSはこの理由として春先の低温多雨と中西部の洪水による作付けの遅れの影響を挙げている。

 一方、同日にはUSDA/WAOBによる8月の世界農産物需給推計の月次報告も公表され、2008/09年度(2008年9月〜2009年8月)における主要穀物の需給見通しが示されている。
 これによると、トウモロコシの消費仕向け量については、生産量予測が上方修正されたことに加え、先物価格が低下傾向にあることなどから、エタノール向け、飼料向けともに前月予測よりも引き上げられている。これに対し、大豆の消費仕向け量については、先物価格の低下傾向にもかかわらず、国内搾油向けなどで前月の予測よりも引き下げられている。
 なお、2008/09年度の生産者販売価格については、トウモロコシが前月の予測よりもブッシェル当たり0.60ドル安い4.90〜5.90ドル、大豆が前月の予測よりも同じく0.50ドル安い11.50〜13.00ドルと予測されている。
(表1)主要州におけるトウモロコシの単収と生産量
(表2)米国における主要飼料穀物の需給見通し
【郷 達也 平成20年8月12日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 調査課 (担当:藤井)
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