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米国農務省、2009年の国際食肉需給・貿易に関する予測を公表

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 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は10月16日、世界の食肉生産と国際貿易の動向に関する予測を公表した。これによると、2009年は牛肉の生産量が9年ぶりにわずかに減少に転じるとともに、増加傾向が続いてきた豚肉および鶏肉の生産量についても前年に比べて伸びが鈍化すると見込まれている。一方、輸出量については、牛肉と鶏肉でわずかに増加するものの、2008年に大幅に増加した豚肉は減少に転じるとされている。
(図1)世界の食肉生産量の推移

牛肉の生産量は9年ぶりに減少する一方で輸出量は増加へ

 牛肉の生産量は、米国、ブラジル、EU27カ国で世界の半分以上を占めており、これに中国とアルゼンチンを加えると上位5カ国で全体の約2/3に達する。2009年については2001年以来9年ぶりに減少に転じ、前年を0.5%下回る5,896万トン(枝肉ベース)になると予測されている。

 このうち、米国とEUについてはそれぞれ0.2%、0.6%の生産減が予測される一方、EU向け輸出の回復が見込まれるブラジルでは2.1%の生産増に転じると予測されている。また、インドでは宗教上の問題がない水牛肉の消費増大を背景に5.1%の生産増が予測される一方、生産拡大を続けてきた中国の生産は伸びが鈍化して1.6%増にとどまるとされ、さらに、干ばつが改善された豪州は繁殖めす牛の保留に向かうため1.4%の生産減と予測されている。

 牛肉の輸出量はブラジル、豪州、米国、インドの4カ国で世界の2/3を占め、ニュージーランド(NZ)、アルゼンチン、カナダがこれに続いている。2008年の輸出量はほぼ前年並みとなる見通しだが、2009年については1.8%増加して787万トンになると予測されている。この結果、生産量に占める輸出量の割合は2008年から0.3ポイント上昇して13.3%に達することになる。

 国別に見ると、衛生問題による12年ぶりの輸出減からの回復が見込まれるブラジルで4.7%、また、韓国の輸入条件の緩和などによりアジア向けの輸出拡大が見込まれる米国で9.8%、政府による輸出規制の緩和が見込まれるアルゼンチンで20.0%の輸出増が予測されている。これに対し、国内生産の減少とアジア市場での米国産牛肉との競合激化が見込まれる豪州とNZについては、それぞれ2.6%、3.5%の輸出減が予測されている。
(図2)世界の牛肉生産量と輸出量の推移
(図2-2)世界の牛肉生産量予測
(図2-3)世界の牛肉輸出量予測

中国の生産増と輸出国の飼料高で豚肉の貿易量は減少に向かう

 世界の豚肉の半分近くは中国で生産されており、これにEU27カ国と米国を加えると世界の8割近くを占める。
これに続くのがブラジル、ロシア、ベトナム、カナダの順であり、日本の生産量はこれに次ぐ世界第8位に相当する。2009年の生産量は前年を1.2%上回る9,786万トン(枝肉ベース)と予測されているが、中国の生産増加分を除けば、ほぼ前年並みの生産量になる見込みである。

 中国の生産量はPRRSの発生によりの2007年以降大きく減少しているが、2009年は養豚農家に対する政府補助金などの効果もあって前年比3.2%増の4,600万トンまで回復すると予想されている。これに対し、EU27カ国と米国の生産は、飼料価格の上昇による収益性の悪化でそれぞれ0.9%、1.6%減少すると見込まれている。一方、トウモロコシや大豆の生産拡大が見込まれるブラジルでは3.4%の生産拡大が予測されている。

 豚肉の輸出量は米国とEU27カ国で全体の2/3を占めており、カナダ、ブラジルを加えると世界のほぼ9割に達する。2008年は米国の大幅輸出増により前年比19.8%増となる見通しだが、2009年については中国の輸入需要の低迷により2.1%の減少(605万トン)に転じると予測されている。豚肉は最大の生産国である中国の輸出がほとんどないことから、牛肉や鶏肉よりも生産量に占める輸出量の割合が小さい。2009年は、輸出の減少に伴ってこの割合が前年から0.2ポイント低下し、6.2%になる見込みである。

 主要国のうち、米国の輸出については中国の生産増に伴う輸入需要の低下により1990年以来19年ぶりに4.1%の減少に転じると見込まれている。また、EUについては域内生産の減少による供給余力の低下で3.3%の輸出減が予測されている。これに対し、ブラジルは新興国への輸出拡大により4.4%の輸出増が予測されており、生産の大幅減が見込まれるカナダについても0.5%の輸出増が見込まれている。
(図3)世界の豚肉生産量と輸出量の推移
(図3-2)世界の豚肉生産量予測
(図3-3)世界の豚肉輸出量予測

増加が続いてきた鶏肉の生産と輸出はやや減速傾向に

 鶏肉の生産量は、米国、中国、ブラジル、EU27カ国で世界の約2/3を占めており、これにメキシコ、インド、ロシア、アルゼンチンが続いている。2009年の生産量は前年比3.5%増の7,424万トンと予測されているが、伸び率は2007年の6.2%増や2008年の5.2%増よりは低下すると見込まれている。

 米国の生産量は、飼料価格の上昇などによる生産費の増大で1973年以来26年ぶりに1.1%の減少に転じると予測されている。中国とブラジルの生産量は、それぞれ、8.3%、4.8%の増加が予測されているが、中国の生産増は国内の豚肉供給の減少による鶏肉需要の高まりを反映したものである。なお、EU27カ国については、英国での鳥インフルエンザ発生による貿易規制の影響はあるものの、前年比で1.1%増加すると見込まれている。

 鶏肉の輸出量はブラジルと米国で全体の8割近くを占めており、EU、タイ、中国、カナダ、アルゼンチンがこれに続いている。2008年は前年比10.6%増となる見通しだが、2009年については伸びが鈍化して2.4%増の830万トンにとどまると予測されている。この結果、生産量に占める輸出量の割合は2008年から0.1ポイント低下して11.2%になる見込みである。

 ブラジルの輸出量は、香港、日本、UAE、EU27カ国、サウジアラビア、ヴェネズエラなどの好調な需要に支えられ、9.9%増加すると予測されている。これに対し、米国の輸出量は、最大の輸出先であるロシア向けが同国の国内生産増加により減少すると見込まれることから、全体で6.0%減少すると予測されている。なお、ロシア以外の米国の主要輸出先である中国、メキシコ、カナダ、キューバ、ウクライナについては堅調な輸出が予測されている。
(図4)世界の鶏肉生産量と輸出量の推移
(図4-2)世界の鶏肉生産量予測
(図4-3)世界の鶏肉輸出量予測
【郷 達也 平成20年11月14日発】
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