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米国環境保護庁、大規模畜産経営に適用する水質保全規制の最終規則を公示

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 米国環境保護庁(EPA)は11月20日、水質保全法(Clean Water Act)に基づき、大規模畜産経営(CAFO:1000家畜単位以上の家畜を飼養する放牧経営以外の畜産経営)に適用する水質保全規制の最終改正規則を官報に掲載した。この最終規則は、官報掲載に先立って10月31日にその内容がEPAから公表され、インターネットを通じて関係者への説明も行われていた。

CAFOに対する水質保全規制の経緯

 米国では、水質保全法に基づいてCAFOが点源汚染源に指定されており、連邦規制の下にある地表水に汚染物質を排出する場合は、EPAまたはその委託を受けた州政府から全国汚染物質排出防止システム(NPDES)に基づく許可を受けることが義務づけられている。しかし、1976年の規制開始当初は、汚水の排出防止措置を講じたCAFOについてNPDES許可の取得義務が免除されており、家畜ふん尿を耕地や草地に施用する場合の規制も実質的には行われていなかった。
 その後、2003年2月にEPAが水質保全法に基づくCAFOの汚染物質排出許可の要件と漏出防止基準を強化する改正規則を公表し、許可申請が必要となるCAFOの数を増やすとともに、汚染物質漏出防止ガイドライン・基準(ELG)によりCAFOによる農地へのふん尿の施用に際しての要件が追加された。しかし、この規制強化に不満を持つ関係者(水質管理者同盟)は、改正規則に法的な問題点があるとしてEPAを相手に訴訟を起こすことになった。
 2005年2月、連邦巡回控訴裁第2支部はこの訴訟に関する判決を公表したが、その内容は2003年2月の改正規則を大きく変更するよう求めるものであった。具体的には、EPAに対して、(1)全てのCAFOにNPDESによる許可の申請を義務づけるとしている要件を撤回すること、(2)NPDESの許可申請の際にはCAFOに栄養分管理計画(NMPs)の提出を義務づけ、許可権者による内容審査と一般市民による意見提出の機会を設けるとともに、最終的に許可を与える際には許可要件にNMPsに規定された諸要件を織り込むことを求めるものであった。
 これを受け、EPAは2006年6月にこの判決への基本的対応方針を明らかにするとともに、2008年3月にはこの判決に対応する追加修正規則案を公表していた。また、この作業と並行して、2007年7月には2003年改正規則により定められたCAFOの新たな義務(CAFOの認可申請やNMPsの作成・実施の遵守)の適用猶予期限を2009年2月27日に延長することも公表していた。

改正規則のポイント

 最終規則では、水質管理者訴訟の結論を踏まえて、主に二つの点で2003年規則を変更している。
一つ目のポイントは、全てのCAFOにNPDES許可の申請を義務づけるとしていた原案の規定を撤回し、許可申請を義務づける対象を「実際に排出を行っているかまたは排出を意図しているCAFO」に限定した点である。汚染物質の排出を行っているかまたは排出を意図しているか否かの決定は、CAFOの所有者または管理者が自己評価を行った上で自ら行うことになる。しかし、EPAは、自己評価にあたってのポイントを明示しており、個々のCAFOごとに、その形状、建築、生産活動、維持管理に関する客観的な評価を行うよう求めている。さらに、この最終規則においては、排出を行っておらずまたは排出を意図していないCAFOが任意で非排出証明を取得する選択肢も示されている。この非排出証明を取得したCAFOは、排出許可の申請が不要であることを許認可部局に明示することが可能となる。
 二つ目のポイントは、NPDES許可を受けようとするCAFOに対してNMPsに関する新たな要件が加えられたことである。2003年規則により、既にCAFOの管理者にはNMPsの策定と実施が義務づけられているが、今回の最終規則により、NPDES許可の申請の際にNMPsを提出することも新たに義務づけられた。申請CAFOからNMPsの提出を受けた許認可部局は、自らNMPsの内容を確認するとともに、一般市民に十分な内容確認と意見提出の機会を与えなければならず、また、許可を与える際には、NMPsで生産者が定めた計画を許可の際の要件として盛り込むことも義務づけられた。
 この他、最終規則では、EPAが申請CAFOの生産施設からの排出およびふん尿施用地からの排出に関して水質に基づく排出の制限(WQBELs)を求めることができることや、適切に管理された閉鎖構造施設を利用する養豚や養鶏等は非排出要件を満たすとしてきた見なし規定を削除することなどについても変更を行っている。

環境上の便益と規制による社会的コスト

 2003年のCAFO規則の改正以降、これに伴う環境上の便益について利害関係者の間で多くの議論が生じたが、EPAは今回の最終規則によって環境上の便益が損なわれることにはならないとの考えを示している。その根拠として、EPAは、排出を行うCAFOの認可にあたっての技術的要件が変更されていないこと、また、生産施設やふん尿施用地からの栄養分の排出管理は引き続き全ての施設に義務づけられることを挙げている。
 また、今回の規制業務の変更は、専ら、最終規則に付随した行政手続の変更により生じたものであるため、最終規則によるCAFOの管理者や州の許認可部局への影響は現行NPDESの下でのCAFO規制業務にわずかな変更が加わる程度にとどまり、行政の負担増は1%未満に収まるだろうとしている。
 なお、EPAは改正CAFO規則の実施に当たっては、現在2009年2月27日とされている遵守期限の再延長は行わず、州政府の許認可部局や申請CAFOと協調して認可作業を進めていく考えを表明している。
【郷 達也 平成20年11月25日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 調査課 (担当:藤井)
Tel:03-3583-9532



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