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新エネルギー法の成立により再生可能燃料の使用基準が拡大(米国)

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トウモロコシベースのエタノール生産は2015年の150億ガロンが上限

 ブッシュ米大統領は12月19日、これまで2年間にわたり米議会が議論を重ねてきた包括エネルギー法案に署名した。これにより、米国におけるエネルギー政策全般の新しい中期的な政策指針を定めた「2007年エネルギー独立・安全保障法」が成立した。
 
 この新たなエネルギー法では、(1)燃費基準の40%改善(現行の1ガロン当たり25マイルから2020年までに同35マイルへ引き上げ)、(2)再生可能燃料使用基準(RFS)の拡大(2008年の年間90億ガロンから2022年の360億ガロンまで段階的に拡大するとともに、360億ガロンのうち210億ガロンをトウモロコシ以外の新たなバイオ燃料で賄うことを義務付け)、(3)バイオディーゼル使用基準の設定(2012年までに10億ガロン)―を主な柱としている。
「2007年エネルギー独立・安全保障法」における再生可能燃料基準

エネルギー関連の補助措置については上院農業法案で規定

 一方、同法の制定過程において、これまで焦点の一つとなっていた再生可能電力基準(RES:電力会社に対する再生可能エネルギー源による発電の義務付け)や、石油会社などへの租税減免措置の引き下げを含んだ税制条項が削除された。
 
 このうち、エネルギー関連の税制措置などバイオ燃料の振興施策は、同月14日に上院本会議を通過した農業法案に盛り込まれている。具体的には、上院農業法案では、(1)エタノール混合燃料の製造業者に対する租税減免額の引き下げ(エタノール生産量が75億ガロンに達した翌年以降、現行のガロン当たり51セントから46セントへ引き下げ)、(2)エタノールの輸入関税の2年延長(2010年末まで)、(3)バイオディーゼルの租税減免の2年延長(2010年末まで)―などの措置を講じている。
 
 しかし、これらエネルギー関連の税制措置については、先に本会議を通過した下院農業法案には、同様の条項は含まれておらず、年明け以降に予定される両院協議会での議論に注目が集まるものと予想される。

主要畜産団体はRFSの拡大に改めて反対を表明

 このような中、全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)は12月17日、上院が同月13日にエネルギー法案を可決したことを受け、同協会は、これまでにも(トウモロコシベースの)RFSの拡大に反対するとともに、米議会に対し、エタノール産業に正当な市場競争を促すよう要求してきたことを改めて主張した。
 
 また、アメリカ食肉協会(AMI)は同月19日、同大統領がエネルギー法案に署名したことを受け、今後、より多くのトウモロコシが家畜飼料からバイオ燃料向けに転換されることにより食品価格の上昇が予測されるとし、「われわれは、米国のエネルギー安全保障を強化する取り組みを支持する一方、食糧安全保障と新エネルギー法のわかりにくい基準設定とを引き換えにすべきではない」との批判的な見解を示している。
【唐澤 哲也 平成19年12月26日発】
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