降雨不足が続き、農産物生産量が大きく減少の見込み
(ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ)
ブラジル南部が降雨不足
ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は2月、2008/09年度(7月〜翌年6月)第5回主要穀物生産状況調査結果を発表した。
これによると、作付面積は横ばいで前年度比0.9%増の4,785万ヘクタール(前年度4,742万ヘクタール)となったが、生産量はかなりの程度減少し同6.5%減の1億3,468万トン(同1億4,411万トン)と見込んでいる。
減少の主因は、トウモロコシと大豆の生産量の減少である。南部における降雨不足による単収減少が、これらの生産量の減少に影響を与えている。
アルゼンチンではパンパ東部を中心に降雨不足が続く
一方、アルゼンチンでは春に降雨不足が続き、大豆を中心には種の遅れが見られたが、12月上旬にまとまった降雨があったことから、は種が進められた。しかしながら、以降も降雨不足が続いていることから、2008/09年度の穀物生産量の減少が懸念されている。
以下の図1はアルゼンチン農牧漁業食糧庁(SAGPyA)が「週間報告」において公表した、農地のひび割れなど深刻な降雨不足が見られる地域を◆印で示したものである。1月15日から23日にかけて地域的に若干の降雨はあったものの、降雨不足の状況は改善していない様子が分かる。なお、2月に入ってアルゼンチン、パラグアイ一帯に強い雨が降り、アルゼンチンのサルタ州では土砂崩れによる家屋倒壊、倒木などの災害が発生している。
なお、米国農務省(USDA)が2月10日に発表した2008/09年度のアルゼンチンの穀物生産量の予測を見ると、これまでの予測からトウモロコシ、大豆とも単収は約1割減となり、収穫面積も減少することから、収穫量はトウモロコシ1,350万トン(従前予測から18%減)の、大豆4,380万トン(同12%減)と見込んでいる。
パラグアイでは大豆生産量が大幅に減少見込み
パラグアイ農牧省(MAG)の調査によると、同国でも降雨不足により、大豆生産量が大幅に減少し前年度比43.2%減の388万トン(前年度683万トン)と見込んでいる。
今年の二毛作や来年度作に悪影響のおそれ
ブラジルとパラグアイでは大豆−トウモロコシ、小麦、アルゼンチンでは大豆−小麦などを組み合わせた二毛作が行われているが、農産物の生産量減少と価格低下は、生産者に二毛作に対する作付意欲の低下を招いている。
また、農産物価格の下落傾向が続いた場合、2010年度の生産にも影響するとみられる。
【松本 隆志 平成21年2月11日発】
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