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生産者団体が豚肉の安全性を表明(チリ)

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 メキシコにおいて死亡例も報告されていた新型インフルエンザについては、各国一丸となって、拡大防止に取り組んでいるところである。このような状況から、チリ豚肉生産者協会(ASPROCER)は4月27日、チリの衛生対策は万全であること、豚肉を食べることにより、同インフルエンザがヒトに感染しないことなどについて、公式見解を表明した。

ASPROCERの公式見解の概要

 メキシコおよび米国において新型インフルエンザ感染が報告されたことに関し、ASPROCERは次の通り報告する:

(1) 世界保健機関(WHO)は、豚肉を食べることによって感染するものではないと表明していること。
(2) チリは下記の通り比類ない衛生条件を備えていること。
地理的に、島国のような衛生条件を備えている上、入国経路では衛生当局が検疫していること。
(筆者注:チリでは自国の衛生条件について、「東と南を太平洋、西をアンデス山脈、北を砂漠で囲まれた島国である」という表現がしばしば用いられる)
豚肉加工施設は厳しいバイオセキュリティー・システムを持っており、疾病の侵入・伝播を制御・防止していること。
豚肉業界が一体となり、チリ農牧庁と連携して豚の疾病制御・監視計画を実行して疾病の予防と根絶に努めていること。
(3) 上述の諸事項を実施しており、かつ当局と豚肉業界が常に協力しているため、疾病の侵入に対処することができること。
(4) 現在、チリにおいては動物にも人間にもこの疾病の感染源は検出されていないこと。厚生省は如何なる感染も防止することのできる対策をとっており、この疾病の侵入と伝播を厳しく管理していること。
(5) 豚肉業界は当局と連携して対応を進めており、不測の事態が発生した場合に向け、必要な全ての情報を提供していること。
(6) これまでバイオセキュリティー上のあらゆる対策に全力を尽くしてきたこと。
(7) 国内市場においても輸出市場においても、豚肉の需要に悪影響は出ていないこと。

PABCOプログラム

 チリでは輸出向け豚肉の信頼性をより高めるため、輸出用に生産される豚肉は、公的管理下家畜施設(PABCO)プログラムに従うこととなっている。同プログラムでは、消毒室(清浄エリアに搬入される資材を消毒するための、出入口の扉をそれぞれ1枚ずつ備えた閉鎖された部屋)、更衣室、消毒槽(履物および車両)などバイオセキュリティーに関する事項についても定めている。

 なお、2006年に同プログラムの中でトレーサビリティについても義務付けている。チリでは豚肉生産の9割を食肉パッカー自らが行っていることから、いわゆる「川上(生産段階)から川下(流通段階)まで」のトレースが容易な特長がある。

大統領、的確な情報伝達を指示

 エラソ厚生大臣は4月28日の閣議後、

「『情報公開を強化し、国民にできるだけ多くの情報を提供して、冷静さを失わせないようにすることが重要である。我が国がとった衛生対策・予防対策を達成できるか否かは、全て国民の問題意識にかかっている。今までに取った行動と予防対策を更に一層強化し、このことを国民に的確に伝達しなければならない。』との大統領の指示を受けた。」と述べた。
【松本 隆志 平成21年4月30日発】
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