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国際金融危機の影響などが鶏肉パッカーの経営を圧迫(ブラジル)

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輸出価格は依然として低迷

 2008年9月の米国に端を発した国際金融危機の影響などで、ブラジルの鶏肉パッカーの経営が圧迫されている。

 開発商工省貿易局(SECEX)によると、ブラジルの2008年11月から2009年3月の鶏肉輸出(丸どり、パーツの合計)は、数量で前年同期比8.7%減の約120万1千トン、金額で同18.3%減の約17億1千万ドル(約1,642億円:1ドル=96円)となった。輸出数量は回復傾向にあるものの、輸出価格が依然として芳しくないことが影響し、輸出金額が減少している。輸出価格(可食処理べース・骨付き)は、2008年9月以降急落し、2009年3月の価格は、前年同月を22.2%下回る1トン当たり1,278ドル(12万3千円)となった。

 また、輸出の減少に伴い国内市場への供給が増加したことから、国内価格も大幅に下落した。鶏肉卸売価格(サンパウロ市場、冷蔵丸どり)は、2008年12月から急落し、3月は前年同月を上回っているものの、同12月と比べると21.2%下回る1キログラム当たり2.45レアル(約115円:1レアル=47円)となった。
鶏肉輸出量および金額
鶏肉輸出価格
鶏肉卸売価格

飼料価格の上昇がさらに経営を圧迫

 さらに、鶏肉生産コストの7割以上を占める飼料価格の上昇が、鶏肉パッカーの経営をますます圧迫させた。2008年後半下落傾向にあったトウモロコシおよび大豆価格(生産者支払価格)は、バイオ燃料への利用が増加したことから上昇し、2009年2月の価格は12月に比べ、トウモロコシが16.7%上回る60キログラム当たり19.94レアル(約940円)、大豆が14.1%上回る同43.35レアル(約2,040円)となった。
大豆およびトウモロコシ価格

市場競争力の弱いパッカーはとう汰へ

 こうした結果、パラナ州など南部州に比べ市場競争力が弱いとされるサンパウロ州の鶏肉パッカー2社(A vicultura Paulista社、Rei Frango社)が、2009年4月に会社更生法の適用を申請した。業界関係者によれば、両社合計の負債額は、1億5千万レアル(約70億5千万円)以上とみられている。また、同州最大の養鶏農協であるCoperfrangoも経営状態が悪化しており、と鳥の中止と従業員の解雇を発表した。今後、金融危機の影響が長引き、再び飼料価格が上昇すれば、鶏肉パッカーの経営は一層圧迫されることが予想される。
【石井 清栄 平成21年5月20日発】
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