北部ルートの1つは、マットグロッソ州産のトウモロコシや大豆を国道BR364号でロンドニア州ポルトベーニョ港までが陸路、同港よりマデイラ川を約1,100キロメートル下りアマゾン川本流にあるイタコアティアラ港、同港から大西洋沿岸のマカパ港を通過しオランダロッテルダムへ輸送するものである。
アマゾナス州政府、アンドレマジグループ(ブラジル最大の大豆生産者、2008年度の大豆作付面積14万ヘクタール、生産量46万トン)などの出資によるアマゾン川上流マデイラ川の水路を利用した経路を利用することにより、従来のサントス港およびパラナグア港までの道路輸送ルートと比較して輸送距離を短縮し、コストを低減させている。
ポルトベーニョ港からの輸出は、アンドレマジグループ傘下のヘルマサ社が行っている。穀物の輸送量は年間250万トン(大豆210万トン、トウモロコシ40万トン)となっている。また復路は肥料や農薬などの農業資材を運んでいる。現時点で港湾機能の輸送能力が上限まで達していることから、2年後に年間750万トンの輸送能力を持つ港を竣工するため、20キロメートルほど下流に新たな港の建設工事が進められている。
ポルトベーニョ港はアマゾン川の支流であるため、大型輸送船は入港できない。そこでポルトベーニョ港はマットグロッソ州北西部を中心とする穀物集積に機能を特化しており、本流に位置するイタコアティアラの搾油工場で大豆油の生産を行っている。なお生産された大豆油は多くはブラジル国内の北部で消費される。一方、大豆油かすは、トウモロコシなどとともに配合飼料として調製され、欧州へ輸出されている。
ポルトペーニョ港での荷降ろし