南米の農畜産業をめぐる情勢(2009年8月)
(アルゼンチン)
2009/10年度のトウモロコシのは種面積は前年度比19%減の見込み
ブエノスアイレス穀物取引所によると、2009/10年度のトウモロコシのは種面積は、前年度比19%減の200万ヘクタールと見込まれている。業界紙は、その原因として(1)西部地域の干ばつ、(2)今後の市場の不透明さ、(3)政策に対する生産者の不信(4)は種コストが大豆を上回ること-などを挙げている。
2010年の鶏肉生産量は160万トン以上の見込み
業界団体によると、2010年の鶏肉生産量は2003年に比べ2倍以上の160万トンを上回り、そのうち20%が輸出に向けられるとしている。また、鶏卵についても同年に比べ70%以上増の60万トンを上回り、そのうち7%が輸出に向けられる見込みである。なお、1人当たりの消費量は、鶏肉が34キログラム、鶏卵が14.5キログラムと見込んでいる。
(ブラジル)
2009年の鶏肉生産量は前年比3.6%増の見込み
ブラジル養鶏連合(UBA)によると、2009年の鶏肉生産量は、前年比3.6%増の1,142万7000トンと見込まれている。そのうち、国内向けは、人口の増加により同2.9%増の760万トン、輸出向けは中国向けなどの増加により、同4.9%増の382万7000トンとしている。なお、今後の鶏肉業界のさらなる発展のためには、設備投資や経営の運転資金などに約50億レアル(約2500億円、1レアル=50円)が必要としている。
Btトウモロコシが作付面積の30〜50%を占める見込み
遺伝子組み換え(GM)作物の栽培が認められてから2年目の2009/10年夏期作では、トウモロコシ作付面積のほぼ3分の1が主要害虫であるガの駆除を目的としたBt(害虫抵抗性)トウモロコシになると推定されている。サンパウロ種子生産者協会では、夏期作に対する証明付き種子供給量のうち23〜25%はBtトウモロコシになると予測している。パラナ州での使用割合はさらに高く、同州のモンサント社は、45%がBtトウモロコシになると予測している。
EU、非GM大豆に対するプレミアム支払いを見直しへ
ヨーロッパの民間調査会社が、マッドグロッソ州では、GM大豆に比べ非GM大豆の生産コストの方が低い地域があるという調査結果を発表したことから、EUはこれまで非GM大豆に支払っていた5%のプレミアムを見直すもようである。調査結果によると、マッドグロッソ州ソリッソ地域では、1ヘクタールの生産コストが、非GM大豆が1,750.52レアル(約8万7500円)であったのに対し、GM大豆は1,858.44レアル(9万2900円)になったとのことである(なお、当事務所の調べた結果では、同州ソリッソ地域の大豆生産コストは、GM大豆に比べ非GM大豆の方が高かった)。
JBS社がさらなる規模拡大へ
世界の牛肉市場をリードするJBS社のジョエスレイ・バチスタ社長は、2009年第二四半期決算が黒字となったことから、国際金融危機を乗り越えたとして、事業の拡大および他社の買収を含む同社のさらなる規模拡大を図るための準備に入ったことを明らかにした。米国の現地法人は現在IPO(新規株式公開)による20億ドル(約1900億円、1ドル=93円)の資金調達を予定しており、同株式公募は既に米国の監督機関の許可を得ている。また、ブラジル国内では会社更生法を申請したクアトロ マルコス社から5工場を借り受け、9月中旬までに操業を開始するとしている。
【石井 清栄 平成21年9月24日発】
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