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南米の農畜産業をめぐる情勢(2009年9月)

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(アルゼンチン)

2009年上半期の牛飼養頭数は前年同期比5.8%減の5580万頭

 国家動植物衛生機構(SENASA)の2009年の第一回(上半期)口蹄疫ワクチン接種の結果によると、牛飼養頭数はパンパ地域での大豆栽培面積の拡大やリオネグロ州など一部地域の干ばつで前年同期比5.8%減の5580万頭となった。なお、パンパ地域では飼養頭数の減少が顕著になっている一方で、北部地域での増加は続いている。

2009/10年度のトウモロコシは種面積がさらに減少の見込み

 ブエノスアイレス穀物取引所は9月、2009/10年度のトウモロコシのは種面積の予測を公表した。これによると、は種面積は、前回公表(8月)に比べさらに減少し前年度比24%減の187.5万ヘクタールになる見込みである。これは、1969/70年度以降最低の記録となる。業界紙によると、その原因として(1)西部地域の干ばつ(2)今後の市場の不透明さ(3)政府の政策に対する生産者の不信(4)大豆を上回るは種コスト-などが挙げられている。

2009年上半期のトウモロコシ輸出の6割以上が5社に集中

 農牧漁業食糧庁(現農牧漁業)によると、2009年上半期のトウモロコシ輸出量544万トンうち65.1%が上位5社に集中している。その内訳は、(1)カーギル社96万5000トン(2)ADM社73万7000トン(3)ブンゲ社67万2000トン(4)ニデラ社61万7000トン(5)ドレイフュス社56万1000トン-となっている。残りの34.9%をACA(アルゼンチン協同組合)ほか25社が分け合っている。

(ブラジル)

2009年の鶏肉輸出見込みを下方修正

 ブラジル鶏肉輸出企業協会(ABEF)によると、2009年の鶏肉輸出量は、当初前年比5%増の378万トンとしていたが、8月までの輸出が前年を下回っていることから、最高で同4%増の374万トンと下方修正した。この原因の一つとして、為替の変動が激しく、輸出業者が適切な輸出価格を設定できないことを挙げている。

アマゾン地域の畜産関連による森林伐採の影響で温室効果ガスの44%が排出

 アマゾン環境院(IMAZON)によると、同地域では畜産関連による森林伐採の影響で、ブラジルの温室効果ガスの44%が排出されているとのことである。業界関係者によると、ブラジルにおいて同地域は牧草地帯の36%(推定5700万ヘクタール)、牛飼養頭数の35%、食肉生産の35%を占めるとされる。また、上記牧草地帯の4割以上は生産性が低く、劣化の過程にあるとされる。

サトウキビ生産量は過去最大の見込み 

 Conab(食糧供給公社)によると、2009/10年度のサトウキビ収穫量は、過去最大の6億2900万トンとなる見込みである。そのうち、45%が砂糖生産、55%がアルコール生産に向けられる見込みである。なお、同年度の砂糖生産量は、前年度に比べ16.1%増の3,672万6000トンになることが見込まれている。しかし、サトウキビ収穫時に行われる焼き畑による二酸化炭素排出量の削減およびアマゾンやパンタナール地域の環境保全などの観点から、政府は業界と協議してアマゾンやパンタナール地域などを含む国土の81.5%でサトウキビ栽培を禁止する計画を現在進めている。

(チリ)

アグロスーパー社、今後の豚肉輸出は特定市場に専念する方針

 最大手の豚肉パッカー、アグロスーパー社のホセ グスマン社長は豚肉輸出について、「主要輸出国の一つである日本へは、一度落ち込んでいた輸出量が今年1月から正常化しており、現在は何ら問題なく輸出している。今後は、海外の新規市場の開拓より、日本や韓国など特定の市場(国)に専念するようにしたい。今はアフリカの数カ国に絞って担当者を派遣している」と語った。

(パラグアイ)

2009/10年度の大豆収穫量は700万トンの見込み

 パラグアイ輸出企業会議所によると、2009/10年度の大豆生産量は、今後降雨に恵まれることが予想されることから、近年の生産量を上回る700万トンになることが見込まれている。
ブラジル鶏肉、チリ豚肉 2009年8月の需給
【石井 清栄 平成21年10月21日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 調査課 (担当:藤原)
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