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EFSA、種豚飼養農場を対象としたサルモネラ菌のモニタリング検査結果を公表

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EU全体では種豚飼養農場の1/3でサルモネラ菌を検出

 欧州食品安全機関(EFSA)は12月17日、EU全域(注1) で2008年1月から12月まで実施された種豚飼養農場を対象としたサルモネラ菌のモニタリング検査結果を公表した。この検査は、
EU全域および各加盟国における種豚飼養農場のサルモネラ菌陽性割合を推計すること(現状の把握)
種豚飼養農場におけるサルモネラ菌検出と関係すると思われる要因を調査すること
サルモネラ菌の血清型(注2)の分布を調査し、EUの種豚飼養農場において検出頻度の高い血清型を特定すること
を目的として実施されたものである。
 この検査結果により、以下の事項が明らかとなった。
  • サルモネラ菌はEU全域で、肥育豚を飼養しない農場(以下、「繁殖農場」という。)、肥育豚を飼養する農場(以下「一貫経営農場」という。)を問わず、種豚を飼養する農場で広く検出された。繁殖農場については、24加盟国のうち20加盟国においてサルモネラ菌が検出され、EU全体ではおよそ1/3(28.7%)の繁殖農場がサルモネラ菌陽性と推計された。また、一貫経営農場についても、24加盟国のうち21加盟国でサルモネラ菌が検出され、EU全体ではおおよそ1/3(33.3%)の一貫経営農場がサルモネラ菌陽性と推計された。
  • 検出されたサルモネラ菌の血清型では、Salmonella Derbyの検出頻度が最も高く、次いでS.Typhimurium、S.London、 S.infantis 、S.Risen の順となった。なお、これらの血清型の中では、EUのヒトにおける食中毒の原因菌としてS.Typhimuriumの報告例が多い。

今後、欧州委員会が具体的な戦略を策定することに

 種豚から子豚、肥育豚へのサルモネラ菌の伝播が生じることにより、豚肉のサルモネラ菌汚染を通じたヒトへの感染が生じる恐れがあることから、種豚におけるサルモネラ菌保有率を減少させることは公衆衛生上重要と考えられている。このEFSAの報告書は、リスク管理者(欧州委員会)が、EUの種豚飼養農場におけるサルモネラ菌陽性率を減少させるための目標設定の際に活用される予定となっており、その具体的な戦略策定手続きが注目される。
(注1): モニタリング検査は、ギリシャ、マルタおよびルーマニアを除くEU24カ国を対象として実施。なお、当該検査にはEU非加盟国であるスイスおよびノルウェーも協力(参加)している。
(注2): ヒトの食中毒の原因となるサルモネラ菌は、血清型によりSalmonella Typhimurium (ネズミチフス菌)、Salmonella Enteritidis (腸炎菌)などに分類される。


(EFSAのプレスリリース)
【前間 聡 平成21年12月21日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 調査課 (担当:井上)
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