2008/09年度の夏穀物生産、前年度比15%減の見込み(豪州)
2008/09年度ソルガム生産量は、前年度比を下回るものの、平年以上の水準
豪州農業資源経済局(ABARE)は2月17日、四半期ごとに公表している穀物生産見通しを発表した。これによると、2008/09年度(7〜6月)の夏穀物生産量は、前年度比15.2%減の327万9千トンと予測している。
品目別に見ると、主要な作目であるソルガムの作付面積は、飼料穀物価格の著しい下落や作付け可能な耕地面積が前年度より少なかったことから、前年度比15.1%減の71万7千ヘクタールと見込まれている。単位面積当たりの収穫量は、記録的な豊作となった前年度に比べると、2割近い減少となるが、平年と比べると、平均またはそれ以上と見込まれている。これは、主産地であるニューサウスウェールズ(NSW)州北部およびクイーンズランド(QLD)州南部において、今年1月中旬から2月初めにかけて乾燥気候となったものの、昨年11月〜今年1月初めにかけて、平年並みまたはそれ以上の降雨に恵まれたためとしている。この結果、生産量は、過去最高となった2007/08年度の生産量を31.6%下回るものの、過去5年間の平均値を20.8%上回る過去3番目に高い水準が見込まれている。
2008/09年度綿実、コメ生産量は、前年度を上回るが、依然として低水準が続く
このほか綿花については、かんがい用水の供給量が増加したことから、作付面積が前年度比2.6倍の16万4千ヘクタール、また、コメも同4.5倍の9千ヘクタールと見込まれている。生産量についても、深刻な干ばつの影響を受けた前年度に比べ、綿実が2.4倍の44万5千トン、コメが3.9倍の7万5千トンとそれぞれ大幅な増加が見込まれるが、過去5年間の平均値と比べると、綿実は3割減、コメは8割以上の減少となり、コメについては前年度に続き記録的な低水準となっている。
2008/09年度冬穀物生産量は当初予測より減少、しかし過去5年平均を上回る水準
また、収穫が終わった2008/09年度冬穀物の生産量については、2年連続の干ばつとなった前年度に比べ46.0%増の3,288万6千トンと見込まれる。地域別では、NSW州南部、ビクトリア州、南オーストラリア州を中心に春期における降水量が少なかったことから、シーズン当初の予測生産量を下回っているが、生産量の約4割を占める西オーストラリア州においては増産としている。このことから生産量は、前回公表値(2008年12月公表:3,056万トン)をかなり上回り、また、過去5年間(2002/03〜2006/07年度)の平均値と比べても6.7%上回る水準が見込まれている。品目別に見ると、小麦が2,139万7千トン(前年度比64.1%増)、大麦が682万トン(同15.2%増)、カノーラが161万5千トン(同51.6%増)と予測している。
【玉井 明雄 平成21年2月18日発】
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