2009/10年度の冬穀物生産、前年度比5%増の見込み
作付面積は前年度比1%増、生産量は同5%増の見込み
豪州農業資源経済局(ABARE)は6月16日、四半期ごとに公表している穀物生産見通しを発表した。これによると、2009/10年度(7〜6月)の冬穀物の作付面積は前年度比1%増の2,188万ヘクタール、生産量は同5%増の3,477万トンとやや増加すると予測している。
主要生産地域の作付状況については、ニューサウスウェールズ(NSW)州北部・中央部、南オーストラリア(SA)州、ビクトリア(VIC)州西部では、今秋(2009年3〜5月)の降雨量が平年並みとなり、また、6月初めにも降雨に恵まれたことから、大部分の農家で作付けが終了し、新シーズンの冬穀物生産に向け好調な滑り出しとなった。対照的に、最大の生産州である西オーストラリア(WA)州やNSW州南部では、今秋の降雨量が平年を下回ったことから、作付けが遅れている状況である。
品目別では、小麦、大麦が増産、カノーラが減産の見込み
冬穀物の生産見通しを品目別に見ると、小麦は、作付面積が前年度比0.3%増の1,351万ヘクタール、単収が同3.2%増と見込まれることから、生産量は同2.7%増の2,197万トンと見込まれる。大麦は、作付面積が同0.8%減の447万ヘクタール、単収が同15%増とかなりの増加が見込まれることから、生産量は同13%増の771万トンと見込まれる。カノーラは、作付面積が同7.0%増の125万ヘクタール、単収が、主産地のWA州で大幅な減少が見込まれることから、生産量は同9.3%減の170万トンと見込まれる。
地域別では、WA州が大幅減、SA州、VIC州が大幅増の見込み
生産量を地域(州)別に見ると、WA州は前年度比16%減の1,142万トンと大幅な減少が見込まれる。これは、作付けの遅れや穀物価格の下落により、作付面積が同1.4%減と見込まれることや、冬穀物の生育期に当たる6月〜8月の降雨量が平年以下、気温が平年より高いとの予報から、単収が過去10年間の平均を下回ると見込まれるためである。一方、2番目に生産量の多いNSW州では、同1.8%増の982万トン、SA州、VIC州は、単収の増加見込みから、同34%増の617万トン、同68%増の519万トンと、それぞれ大幅な増加が見込まれている。
2008/09年度のソルガムの生産量は前年度比で減少するも、過去2番目に高い水準
また、収穫が終わった2008/09年度夏穀物の生産量については、前年度比11%減の346万トンとなった。品目別では、飼料用穀物として利用されているソルガムは、主産地であるNSW州北部、クイーンズランド州南部でシーズンを通じ降雨に恵まれたものの、同25%減の232万トンとなった。しかし、過去最高となった前年には及ばないものの、2番目に高い水準である。綿実は同2.4倍の44万6千トン、コメは同3.7倍の6万6千トンといずれも大幅に増加したが、かんがい用水の利用が制限されていることから、過去の水準と比べると、記録的な低水準となった。
【玉井 明雄 平成21年6月18日発】
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