飼料価格の低下などからフィードロット飼養頭数は増加(豪州)
飼養頭数は前回調査比、前年同期比でいずれもかなり増加
豪州フィードロット協会(ALFA)は7月22日、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)と共同で四半期ごとに実施している全国フィードロット飼養頭数調査の結果(2009年6月期)を公表した。これによると、2009年6月末時点の総飼養頭数は74万4千頭となり、前回調査(2009年3月末:67万8千頭)比で9.7%増、前年同期比で8.1%増とそれぞれかなり増加した。一方、フィードロットの収容能力頭数は124万3千頭と前回調査と同水準となったことから、フィードロット稼働率は60%と前回調査時から6ポイント上昇した。
飼養頭数を州別に見ると、頭数規模の小さいビクトリア(VIC)州、南オーストラリア(SA)州、西オーストラリア(WA)州が前回調査比でそれぞれ減少したものの、最大の肉牛生産地であるクイーンズランド(QLD)州、第2位のニューサウスウェールズ(NSW)州が、同12.5%増、同13.2%増とそれぞれかなり増加した。
季節的な要因に加え、飼料価格の低下などから飼養頭数が増加
ALFAでは今回、フィードロット飼養頭数が増加した要因として、例年、6月末の飼養頭数は、冬季のため牧草が少ないことから前回調査と比べ増加すること、飼料穀物価格や素牛価格の下落によりフィードロットでの生産コストが低下したことなどを挙げている。中でも、2009年4〜6月の飼料穀物価格は、前年同期比37%安と大幅に低下したとしている。
しかし、飼養頭数を仕向け先別に見ると、国内向け頭数が前年同期比で37.6%増の24万1千頭と大幅に増加したのに対し、輸出向け頭数は同で0.7%減の49万8千頭とわずかに減少した。ALFAでは、国内向けの増加要因について、生産コストの低下に伴いグレインフェッドに対するパッカーからの需要が高まったことなどを挙げている。また、輸出向けの減少要因について、主要輸出市場における牛肉需要の低迷、2009年4〜6月における主要通貨に対する豪ドル為替相場が、前四半期や前々四半期と比べ、高値で推移したことを挙げている。
また、2009年4〜6月におけるグレインフェッド牛肉の輸出量について見ると、主要輸出先である日本向け、韓国向けは、牛肉需要の低迷と米国産牛肉との競合により、前年同期比でそれぞれ3%、20%減となった。
【玉井 明雄 平成21年7月22日発】
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