豚肉など国産農産物の販売促進にかかる市場調査などに対する補助を決定(豪州)
国産農水産物販売・消費推進により地域産業を支援
ラッド政権は、党首選挙の公約の中で、地域の雇用を創出し、地域産業を支援し、振興することにより雇用を創出することをかかげており、農業関連では、2008年12月に下表のとおり、総額およそ4300万豪ドル(34億円:1豪ドル=80円)となる地域産業支援/振興に関する3つのプログラムについて実施団体と実施案の公募を行った。
公募の結果、バーク農業大臣は本年5月23日、上記3つのプログラムのうち国産農水産物販売・消費推進プログラムについては、豚肉、カンガルー肉、マッシュルーム、水産物、ワインといった各産業を代表する団体から提案のあった取り組みに対し補助金を拠出することを決定し、これを公表した。今回の決定は、同プログラムに基づく第1回目の補助金の拠出であり、約200万豪ドル(1億6千万円)が各団体の実施する販売・消費促進を目的とした市場調査などの経費に充てられる。主な実施団体および補助金額は下表のとおり。
豚肉生産者団体は国産豚肉の消費促進に期待
養豚産業については、豚肉生産者団体であるAustralian Pork Limited(APL)が、次の3つの取り組み(調査・試行)を実施することとなっている。
豪州の養豚産業は、農業粗生産額ベースで牛肉や酪農がそれぞれ15%、9%を占めるのに対し、わずか2%にすぎない。また、牛肉や酪農が生産量の過半以上を輸出に向けるのに対し、豚肉については、生産量の9割程度は国内で消費されている。
注:2008年/09年度は2009年9月時点の速報値
豚肉の年間輸入量(冷凍骨なし)を見ると、10年間で15,823トン(1998/99年度)から127,894トン(2008/09年度)と約10倍にまで増加した。近年、飼料穀物の高騰などにより、生産コストは増加を続け、豚肉生産量は伸び悩み、国産豚肉の供給力が低下する一方、輸入量は、輸出国の補助金による競争力の強化や豪ドル高で推移する為替相場により、増加傾向にある。APLによると、輸入量増加の結果、ハムやベーコンなどの豚肉加工品の70%以上が輸入豚肉を原料としていると見積もっている。APLは、全量を国産が占める生鮮豚肉市場において、消費拡大に努めていくとしており、国産農水産物販売・消費推進プログラムについては、国産豚肉を輸入競合品と区別し、消費者の間でこの認識を高めることによって国産の消費促進に大いに役立てたいと歓迎している。
【杉若 知子 平成21年9月4日発】
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