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豪州政府、BSEに関する牛肉等の輸入規制の見直しを発表(豪州)

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BSE発生国に対する牛肉等の輸入規制を見直し

 豪州連邦政府は10月20日、農漁林業大臣、貿易大臣、保健・高齢化大臣などの連名で、現行の牛海綿状脳症(BSE)に関する食品安全政策について、牛肉および牛肉加工品(以下、「牛肉等」という。)の輸入規制を見直す旨のプレスリリースを発表した。

 この発表によると、豪州は、EU諸国におけるBSEの発生・拡大を受け2001年以降、BSE発生が確認された国からの牛肉等の輸入を禁止している。しかし、先ごろ実施された専門家によるBSE に関する調査結果を踏まえ、現行の輸入条件を変更し、BSE発生が確認された国であっても、適切なリスク管理が行われている場合は、当該国からの牛肉等の輸入が可能となるとしている。具体的には、輸出を希望する国は、豪州の衛生当局から、輸出する牛肉等がBSE非感染牛由来のものであることを保証する適切な管理が行われていることなどについて、厳格なリスク評価を受ける必要がある。このため当該国は、豪州の衛生当局に対しリスク評価の申請を行い、同評価を受け、この結果を踏まえ、一定の条件のもとで輸入が認められることになる。なお、新たな輸入条件は、原則として、2010年3月1日から適用されるとしている。

国内でBSEが確認された場合の措置についても見直しを示唆

 また、今回の発表では、現行のBSEに関する食品安全政策において、豪州国内でBSE感染牛が1頭でも確認された場合、国内に流通するすべての牛肉を店頭から撤去しなければならないが、これについても見直しが行われることを示唆している。この措置については、肉牛生産者団体などで組織する豪州肉牛協議会(CCA)が、かねてより、食品の安全性は絶対条件であるが、食品安全政策の遵守には科学的根拠に基づいた判断が適切に行われる必要があるとしており、今回の発表は、肉牛業界からのこうした要望を踏まえたものとみられる。

BSE清浄国としての地位を堅持

 今回の見直しについて、ヘフェルナン上院議員は、豪州のBSE清浄国としてのイメージを損ねるのではないかと懸念を表明している。また、業界団体の中からも、同国の牛肉等の輸入量が急増するのではないかとの意見が出ている。一方、豪州政府は、今回の変更について、輸入牛肉などがBSE非感染牛由来であることを条件とする同国の食品安全基準や現行の検疫体制を変更するものではない。また、同国が国際獣疫事務局(OIE)より認められている「無視できるリスクの国」としてのBSEステータスに影響するものでもなく、牛肉輸出能力を損ねるものでもないとしている。
【玉井 明雄 平成21年10月27日発】
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