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2008年豚肉調製品輸出量は大幅に増加(タイ)

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2009年の豚飼養頭数は前年比4.7%減と予測

 タイ農業・協同組合省(MOAC)は、豚飼養頭数の2008年推定値および2009年予測値を公表した。これによると、2008年は前年比6.4%減の約785万頭、2009年は同4.7%減の約747万頭と予測している。
 MOACは当初、2008年の豚飼養頭数について、前年より2%程度増加すると見込んでいた。しかし、2007年末から2008年夏頃まで続いた飼料原料価格の高騰に伴う生産費の上昇により、主に中小規模養豚経営の資金繰りが悪化し事業中止に至るケースが多発したことが、2008年の豚飼養頭数減少の主な要因と分析している。
 さらに、MOACは、2007年末から発生した豚流行性下痢(PED)により、80万頭前後の子豚が死亡したことも2008年における豚飼養頭数減少の要因としている。
 また、MOACは2009年の豚飼養頭数についても減少傾向が継続すると予測している。飼料原料価格については、2008年夏以降、低下傾向を示してはいるものの、同国における豚飼養頭数の7割を占める中小規模養豚経営を取り巻く状況は、引き続き厳しいものと見込んでいる。一方、大手インテグレーターは、食肉加工施設の新規開設や隣国での養豚場設置など生産増強に向けた取り組みを表明している。
表1 豚飼養頭数推移

豚肉調製品の輸出量は大幅に増加

 豚肉調製品輸出量は増加傾向で推移しているが、タイ財務省が公表した2008年12月分貿易統計によると、2008年の輸出量はソーセージ(HSコード1601)が前年比85.0%増の約3千4百トン、調製品(HSコード1602-41、42、49)が同51.4%増の約5千3百トンとなり、いずれも前年より大幅に増加した。輸出先については、いずれも日本向けのシェアが高く、ソーセージでは日本向けが約2千7百トン(シェア80.4%)、調製品では同じく約4千9百トン(同93.1%)となっている。
 また、同統計によれば、2008年の豚肉(生鮮冷蔵・冷凍:HSコード0203)輸出量は同5.4%増の約4千百トンとなった。タイ産豚肉(生鮮冷蔵・冷凍)の輸出数量は、豚肉調製品へのシフトにより減少傾向が続いており、過去10年間では2002年の約1万1千トンをピークに2007年まで減少傾向で推移してきた。MOACは2008年豚肉(生鮮冷蔵・冷凍)輸出量が増加した理由として、香港が中国国内で発生した家畜疾病の影響により、豚肉の輸入先を中国からタイに変更したことが主な理由と分析している。この結果、香港向けの豚肉(生鮮冷蔵・冷凍)輸出数量は、同31.4%増の約3千6百トン(シェア87.3%)となった。
 生体輸出数量も増加傾向で推移しているが、2008年の輸出量は同338.9%増の42万8千頭と大幅に増加した。輸出先は、ほぼ全量がインドシナ4カ国となっており、カンボジア向けが29万3千頭、ラオス向けが12万3千頭、ミャンマー向けが1万2千頭、ベトナム向けが6百頭となっており、いずれも前年より増加している。また、生体豚の2008年輸出数量内訳は、育種用純粋種および育成豚が14万5千頭、成豚が28万4千頭となっている。
 このうち、カンボジア向け生体輸出数量が2007年の2,273頭から2008年には292,623頭と大幅に増加しているが、これはタイとカンボジアにおける売買価格差が主な要因とされている。カンボジア向けの生体豚輸出数量の内訳を見ると、育種用純粋種および育成豚が121,877頭、成豚が170,746頭となっており、成豚だけでなく育種用純粋種および育成豚の輸出数量も大幅に増加している。
表2 豚肉(生鮮冷蔵・冷凍、調整品)および生体の輸出(2008年)
表3 生体豚輸出内訳

豚肉卸売価格はキログラム当たり50バーツ台で推移

 タイ商務省国内取引局(DIT)は2009年1月の豚肉卸売価格を公表した。これによると、前年同月比12.7%高のキログラム当たり54.15バーツ(約152円:1バーツ=2.8円)となった。豚肉卸売価格は、2008年3月のキログラム当たり58.79バーツ(約164円)をピークに、2008年12月にはキログラム当たり52.00バーツ(約146円)となるなど、総じて低下傾向を示してはいるものの、キログラム当たり50バーツ台の水準が続いている。
 また、2009年1月の卸売価格は前月比でも4.1%高となった。DITは、今年は1月26日であった中国正月における豚肉需要の増加に対し、豚肉生産量が減少しているためと分析している。また、MOACは2009年の豚肉価格動向について、タイ経済成長率の鈍化により豚肉需要が減少するため、豚肉価格は前年を下回ると予想している。
豚肉卸売価格推移
【林 義隆 平成21年3月18日発】
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