生乳生産量は増加傾向で推移(フィリピン)
牛乳・乳製品国内消費量の99%は輸入により対応
フィリピン酪農庁(NDA)は先頃、2008年の牛乳・乳製品需給状況を公表した。それによると、生産量は前年比2.8%増の1万4千トン、輸入量は同7%減の161万9千トン、輸出量は同5.3%増の29万9千トンとなった(いずれも生乳換算)。
同国の生乳生産量は、1万トン台とわずかではあるものの毎年3〜4%増で推移している。しかし、自給率は1%程度となっており、国内消費量の99%以上をオセアニアなどからの輸入に頼っている。2008年の牛乳・乳製品輸入量を国別に見ると、ニュージーランド(NZ)が60万8千トン(輸入量に占めるシェアは37.6%)、米国が38万1千トン(同23.5%)、豪州が24万トン(同14.8%)、フランスが5万4千トン(同3.4%)などとなっている。牛乳・乳製品の輸入先は、年次によって変動があるものの、過去5年間ではNZ、豪州と米国が上位を占めており、この3カ国のシェアはおおむね7割強となっている。
また、輸入数量を品目別に見ると、脱脂粉乳が62万7千トン(同38.7%)で最も多く、次いで全粉乳の34万5千トン(同21.3%)、ホエイパウダーの25万3千トン(同15.6%)、バターミルクパウダーの13万3千トン(同8.2%)などとなっている。同国では、フレッシュ牛乳の飲用習慣が希薄であるとされており、これらの輸入乳製品を原料にして製造された還元乳が主に流通している。
乳用牛の飼養頭数増加に伴い生乳生産量も増加
生乳生産量の増加は、乳用牛の飼養頭数が近年増加傾向で推移しているのと軌を一にしている。2007年(1月1日現在)の乳用家畜飼養頭数は、乳用牛が12,094頭、乳用水牛が13,155頭、乳用ヤギが923頭となっており、水牛が最も多い。しかし、2008年(同)は、乳用牛が13,864頭、乳用水牛が13,416頭、乳用ヤギが911頭と乳用牛の飼養頭数が最も多くなっている。2008年の生乳生産のうち乳用牛由来が63%、乳用水牛が36%、乳用ヤギが1%となっている。
乳製品輸出先は主に東南アジア諸国
一方、乳製品の輸出数量は、近年増加傾向で推移しており、2008年は前年比5.3%増の29万9千トンとなった。輸出先は、インドネシアが45%、次いでマレーシアが28%と、この2カ国で全体の約7割前後を占めるほか、タイ、ベトナムなど東南アジア諸国向けが主流となっている。また、輸出品目については、全粉乳が全体の97%を占めており、毎年ほぼ同様の比率で推移している。
【林 義隆 平成21年4月22日発】
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