米国農務省、2008/09年度の世界の飼料穀物需要予測量をさらに下方修正
米国農務省(USDA)は2月10日、2008/09穀物年度における国内外の主要農作物の需要見通しを公表した。
これによると、トウモロコシおよび大豆の国際需給については、世界的な不況に伴う消費の減退により需要量が引き続き下方修正されている一方で、南米の干ばつの広がりなどにより生産予測量も前月から引き下げられている。
米国における大豆の需要見込みは輸出の増大によりわずかに引き上げ
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)が公表した2月の世界農産物需給推計の月次報告によると、米国における2008/09穀物年度(2008年9月〜2009年8月)のトウモロコシ需要量は、前月の予測値と同水準の119億5,000万ブッシェル(前年度比6.2%減)と見込まれている。また、その用途別の内訳についても前月の予測値から変更されておらず、飼料等向けが53億ブッシェル(同10.7%減)、エタノール向けが36億ブッシェル(同19.0%増)、輸出向けが17億5,000万ブッシェル(同28.2%減)とされている。
これに対し、同年度における米国の大豆総需要量は、前月予測値から1,500万ブッシェル引き上げられ、29億6,300万ブッシェル(前年度比3.0%減)になると予測されている。用途別に見ると、国内搾油向けが需要の低迷から4カ月連続で下方修正されて16億5,000万ブッシェル(同8.4%減)とされる一方、輸出向けについては中国の輸入需要増大を反映して11億5,000万ブッシェル(同0.9%減)に引き上げられている。
同年度におけるトウモロコシと大豆の生産量については、いずれも前月の予測値から変更されず、それぞれ121億100万ブッシェル(前年度7.2%減)、29億5,900万ブッシェル(同10.5%増)と予測されている。一方、平均農家販売価格については、トウモロコシが3.65〜4.15ドル/ブッシェルと前月予測並みの水準になったのに対し、大豆は8.75〜9.75ドル/ブッシェルと前月の予測値から0.25ドル/ブッシェル引き上げられている。
世界全体の飼料穀物需要は国際不況の影響で予測の下方修正が続く
USDA/WAOBによると、2008/09穀物年度における世界全体のトウモロコシ需要量は7億7,747万トン(306億906万ブッシェル:前年度比0.6%増)と予測されており、前月から575万トン引き下げられている。特に、飼料向けの需要量は前月から585万トン下方修正されており、USDAはその一部が大麦やエンバクの供給増により代替されると予測している。
国別に見ると、前月の需要予測値に比べてブラジルが300万トン、アルゼンチンが120万トン、韓国が70万トン、メキシコが50万トン下方修正されており、南米の干ばつや世界経済危機以降のドル高の影響がうかがえる。トウモロコシの需要予測値の下方修正はこれで4カ月連続であり、昨年10月の予測値から2,290万トン(2.9%)引き下げられている。
一方、同年度における世界全体の大豆の需要量は2億2,662万トン(83億2,672万ブッシェル:前年度比1.4%減)と予測されており、前月から449万トン引き下げられている。主要国(米国、アルゼンチン、ブラジル、中国、EU−27カ国)のすべてで国内の需要量予測が下方修正されており、特にアルゼンチンの引き下げ(191万トン)幅が大きい。大豆の需要予測値の下方修正は6カ月連続であり、昨年8月の予測値から1,126トン(4.7%)引き下げられている。
南米の干ばつにより飼料穀物の生産見通しも下方修正へ
2008/09穀物年度における世界全体のトウモロコシ生産量は前月から457万トン引き下げられ、7億8,647万トン(309億6,339億ブッシェル:前年度比0.6%減)になると予測されている。国別に見ると、アルゼンチンの生産予測量が前月から300万トン減らされて1,350万トン(前年度比21.8%減)に、また、ブラジルの生産予測量が前月から200万トン減の4,950万トン(同15.5%減)に修正されている。USDAは、1月下旬に南米を襲った熱波と干ばつにより、アルゼンチンでは単収と収穫面積に大きな影響が予測され、また、ブラジルにおいても単収の低下が予測されるとするとともに、両国の隣国にあたるパラグアイでも同様の被害が広がっているとしている。
世界の大豆生産量についても南米の干ばつ被害の影響は大きく、同年度の生産予測量は前月から905万トン下方修正されて2億2,415万トン(82億3,596万ブッシェル:前年度比1.5%増)と予測されている。USDAは、熱波と干ばつの影響により、アルゼンチンで570万トン、ブラジルで200万トン、パラグアイで160万トンの収量低下が予測されるとしている。
【郷 達也 平成21年2月10日発】
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