米国の酪農家は本年3回目となる乳用牛とう汰に着手(北米)
米国の生乳生産者団体である全国生乳生産者連盟(NMPF)は10月1日、同連盟が運営する酪農協共同基金(Cooperative Working Together :CWT)を通じた乳用牛とう汰事業を行うと発表した。
CWTを活用した乳用牛とう汰事業は、本年4月から7月にかけて通算第7回目の事業が、本年7月から9月にかけて通算第8回目の事業が実施されてきた。乳価は一時期に比べれば回復傾向にあるが、依然として低水準にある。このような中、さらなる生乳生産の削減を行うため、本年3回目となる通算第9回目の事業実施が決定されたところである。
この14カ月で約49億ポンド(222万トン)の生乳を削減
今回の発表に当たって、NMPFは、この14カ月で行った母牛および初妊牛のとう汰により48億9405万ポンド(222万トン)の生乳が削減されており、これにより年内には需要に見合った生乳生産が実現可能になるであろうとこれまでのとう汰事業の成果を述べた。また、NMPFは、今回の乳用牛とう汰は、乳価の回復をさらに加速化させるものであるとし、その必要性を強調している。
思うように進まない生乳の減産
生乳生産の推移を見てみると、本年7月で前年同月比0.1%減、8月で同0.3%減、1〜8月の累計で前年同月比0.17%減とわずかな減少しか認められていない。
減産が思うように進んでいない理由としては、乳用牛とう汰による頭数の削減は行われているものの、(1)1頭当たり生乳生産量が着実に伸びていること、(2)乳価が低迷する中、飼料価格が低下傾向で推移しているため、飼料を十分に給与し生乳生産を伸ばそうという動きがあること−などが挙げられる。
なお、通算第8回目以降のとう汰の影響が本格的に統計上に表れるのは本年9月以降となる。米国における生乳需給、乳価の今後の動向が注目される。
【上田 泰史 平成21年10月5日発】
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