カナダ政府は10月7日、WTOに米国の原産地表示(COOL=Country Of Origin Labeling )に対してパネル(小委員会)設置を要請したことを公表した。
今年の5月7日にWTO紛争解決手続きの第一段階である二国間協議を要請し、6月5日に協議を行ったものの解決には至らず、第二段階のパネル(小委員会)の設置を要請することになった。
カナダのデイ国際貿易相によると、米国の原産地表示は、肉豚と肉牛のカナダの輸出業者の米国市場における公正な競争を阻害していると述べ、またリッツ農務・農産食品相は、カナダの生産者は不当な扱いを受けていると言明した。
一方、米国のヴィルサック農務長官とカーク通商代表は、「米国の原産地表示は、WTOのルールにのっとった手法で消費者に情報を提供しており、原産地の表示は正当な政策である。一般的に、ほかの輸出国は原産地表示を希望するものである。」と声明文を出した。
米国の原産地表示は、2008年農業法の成立を受けて、牛肉、ラム肉、豚肉、鶏肉、ヤギ肉などについて2008年9月30日から義務付けられることとなった。原産地表示の義務付けは、と畜解体などの工程において区分処理などの新たな作業を発生させることから、これ以降米国の食肉パッカーがカナダの豚や牛の購入を控えたため、カナダから米国への輸出が激減した。これを受け、2008年12月、カナダはWTOに二国間協議を要請することとなった。その後、いったん要請は棚上げされたが、カナダの肉牛や肉豚の輸出状況に改善は見られないことから、同国は5月7日に再度WTOに協議を要請した。その後、6月5日に協議を行ったが解決には至らず、今回、WTO紛争解決手続きの第二段階であるパネル・リクエスト(小委員会設置要求)をすることになった。
このパネル・リクエストは、10月23日に開催されるWTOの紛争解決機関で検討されることになる。